シャブは止められないのか!? 「組長の娘」が証言する常用者の実態

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女子は増加傾向

『組長の娘 ヤクザの家に生まれて』の著書である廣末登氏は、次のように警鐘を鳴らす。

「厚生労働省 医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課が、平成27年11月に発表した薬物事犯の報告書によると、覚せい剤使用者自体は減少傾向にあります。しかし、再犯者は平成22年から26年まで、おおよそ56%で推移しており、覚せい剤の依存性の高さを示しています。

 さらに、平成25年版の犯罪白書を見ると、平成24年の女子の特別法犯の送致人員のなかでは、覚せい剤取締法違反の割合が22.1%と最も高くなっています。女子の覚せい剤取締法違反による入所受刑者数も、平成5年以降右肩上がりになっている。これらの多くは再犯者と思われます。彼女たちが再び覚せい剤に手を染めたのはなぜなのか、明確な理由は分かりませんが、一度刑務所に収容された人に対し、セカンドチャンスを与えない硬直した世相も反映しているのではないかと思います。だから「……でも、やっぱり出来へんねん」となるわけですね。

 私の研究は、暴力団を離脱した方の社会復帰についてですが、日本では、一度、そうした負の経験をした方をなかなか受け入れてくれません。いわゆる社会的排除が生じている。しかし、そうすると極道の道からも外れた、新たな「悪い人たち」が生まれるだけなのです。覚せい剤は元手が少なく、儲けが大きい。狙われるのは社会的弱者である女性や子どもたちなのです」

 罪を犯した以上、社会的制裁も含めて罰を受けるのは当然だろう。しかし、「やり直したい」という気持ちを維持させることで、更生をすすめ、再犯を減らすためにはどうすべきか、「社会全体で真剣に考える時期が来ている」と廣末氏は語っている。

デイリー新潮編集部

2016年12月6日掲載

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