トランプがカジノに招いたバブル紳士、バカラ賭博での大勝負

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バカラ賭博での大勝負(写真はイメージ)

 姓がトランプだから、ではなかろうが、1980年代以降、不動産投資で巨万の富を築いたトランプ氏は、カジノ産業にも参入していた。であれば、バカラ賭博のハイローラー(高額な掛け金を注ぎ込む客)がいると聞いて、黙っているわけがない。件の人物が豪州のカジノで29億円を荒稼ぎしたと聞き、自分が経営するカジノに誘ったのである。

 それは日本人だった。山梨県の不動産業兼貸金業者、柏木昭男氏で、このバブル紳士と一戦を交えようと目論んだトランプ氏は、ついに1990年2月、柏木氏をアトランティックシティのカジノ「トランプ・プラザ」に招き入れたのだ。

「バカラ賭博で1回の勝負ごとに20万ドルが動き、初日は柏木氏が400万ドルのプラス。翌日さらに200万ドルを上乗せし、引き払ってしまった。トランプ氏の負けはカジノ始まって以来の額に膨らみました」(当時を知るジャーナリスト)

 地団駄を踏んだトランプ氏は3カ月後、再勝負し、

「トランプ氏は柏木氏を必死にかく乱。今度は柏木氏が1000万ドル(当時のレートで15億円)の負けになってしまった」(同)

 元側近のひとりが、

「柏木社長は月に1回ペースで海外のカジノに出かけ、“ラッキーセブンだ”と7億円を運び、それが1、2日で消えてしまうこともたびたびありました」

 と回想する。柏木氏は92年1月、総ケヤキ造りの自邸でメッタ刺しにされているのが見つかり、事件は未解決のまま時効に。当時、

「トランプ氏が負け金返済を迫って、手下を動かしたのではないか」

 という噂が駆けめぐったが、今も真相は藪の中だ。

特集「差別と憎悪の渦から生まれた『トランプ大統領』25の疑問」より

週刊新潮 2016年11月24日号掲載

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