「東ドイツ」製作の映画が上映 反体制での“禁止映画”も
DEFA70周年 知られざる東ドイツ映画
1990年10月の東西ドイツ統一から、はや四半世紀以上が経つ。
東ドイツは映画大国だった。占領下の46年から国が終焉する90年までDEFA(デーファ)という唯一の公式映画製作機関が、7000本以上の作品を手がけてきた。社会主義体制ならではの仕組みだ。
このDEFA創設70周年にあたり、東京国立近代美術館フィルムセンター(東京・京橋)で22本の長編のほか、ドキュメンタリー、短編アニメが上映される(11月29日から12月25日まで)。
「東ドイツを題材にした映画は、監視社会の実態を描いた『善き人のためのソナタ』や急速な西側化をユーモアを交じえて捉えた『グッバイ、レーニン!』のような話題作があります。一方、東ドイツで作られた映画は日本でほとんど知られていません。これだけ多くの作品が上映されるのは日本で初めてです」(映画記者)
「殺人者は我々の中にいる」は、46年公開の戦後初の作品。占領国ソ連の支援と統制を受け、がれきや廃墟の中で撮影が始まった。
「教条主義的な作品ばかりではなく、西部劇や童話、日本人女優の谷洋子も出演した『金星ロケット発進す』のようなSFなど多彩。街頭ロケで撮影された風景も当時を知ることができる貴重な資料です」(東京国立近代美術館フィルムセンター)
封印されたいわくつきの“禁止映画”も5本上映。
「プレミア上映後にお蔵入りになった作品や、製作中に中止され、反体制的な台詞の音声が消されたり部分的に破壊された『君が大人になったら、アダム』のような作品もあります。欠落部分を再録音したり説明文を入れて補い、25年後の90年に復元されました」(同)
映画人の執念すら感じる。まさに、知られざる東ドイツ映画。