「トランプは白人低所得層が勝たせた」は本当か ミドルクラス以上も支持

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白人低所得層がトランプを支持?(写真はイメージ)

「世紀の番狂わせ」の原因として真っ先に挙げられるのは、移民に職を奪われた、学歴の低いプアホワイト(白人低所得層)によるトランプ支持、である。

 だが、米「ABCニュース」が行った詳細な出口調査は、意外な真実を浮き彫りにした。2万人以上を対象とする大規模な調査で注目すべきはこのデータだ。

 実は、〈世帯年収が3万ドル以下〉の低所得層のうち、トランプに投票したのは41%に過ぎない。対するヒラリー支持は53%を占める。つまり、アメリカで最も困窮している人々はヒラリーを選んだことになる。

 他方、トランプは年収が5万ドルを超える全ての所得層で、ヒラリーの得票率を上回る。〈大卒〉の白人有権者も49%がトランプ支持と、45%のヒラリーに差をつけているのだ。

 このデータを福井県立大学の島田洋一教授(国際政治学)が解説するには、

「ヒラリーは年収25万ドル以上の世帯の所得税を引き上げ、オバマケアを継続する方針を打ち出していました。オバマケアは中間層以上の負担増によって、低所得層が医療サービスを受けられる、いわば所得移転の制度です。そのため、ミドルクラス以上の国民は、大幅な減税とオバマケアの廃止を訴えるトランプを支持したのでしょう」

 結局、米大統領選に関する日本国内の報道は、

「民主党支持が大半を占めるアメリカの主要メディアの受け売り」(同)

 そのせいで、「無教養なブルーカラーの白人がトランプを勝利に導いた」というデマが日本でもまかり通ってしまったのである。

特集「差別と憎悪の渦から生まれた『トランプ大統領』25の疑問」より

週刊新潮 2016年11月24日号掲載

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