高校球界の新怪物、日大三“デカプリオ” 祖父は「正直、プロ野球には…」

スポーツ 野球

  • ブックマーク

 高校球界に新たなモンスターが誕生。早稲田実業の怪物、清宮幸太郎(17)に引けを取らない超大型スラッガーとして鮮烈なデビューを飾ったのが、日大三高の金成麗生(かなりれお)(17)だ。193センチ、101キロという恵まれた体格で、チームメイトからは「デカプリオ」と呼ばれる新星なのである。

 ***

神宮球場(イメージ)

 11月3日、神宮球場で行われた秋季東京都高校野球大会の決勝戦。早実が日大三高を8対6のサヨナラ勝ちで下し、春のセンバツへの切符を手にした。

「ただ、スラッガーとしての実力を見せつけたのは日大三高のモンスターでした」

 と解説するのは、スポーツ紙の記者である。

「清宮は5三振を喫し、精彩を欠いた。それに比べ、金成は5番ファーストでスタメン出場すると、5回に3点本塁打、9回にも二塁打を放ち、5打点をあげた。大会の2回戦までは調子が上がらず、9打数無安打。準決勝前日、監督に打撃練習のメンバーから外されたことに奮起し、決勝戦での大爆発に繋がったのです」

 アメリカ人の父と日本人の母を持つ金成は、小学1年生から野球を始め、もともとはサウスポーの投手だった。今夏からファーストにコンバートされ、ベンチ入りすると、早くも15本のホームランを量産するという急成長ぶりなのである。

■メンタルに…

 将来性について、スポーツライターの安倍昌彦氏に聞くと、

「投手時代の金成は、145キロ前後の勢いのあるストレートを投げていました。でも、如何せんコントロールが悪い。監督の指導で、投球フォームを変えたりもしたけど、結局、ダメだった。とはいえ、投手の経験を活かし、バッターとしては腕の振りが抜群にしなやか。ベルトから上の高めの球に対するバットコントロールはピカイチです」

 では、ライバルである、清宮と比べてどうなのか。

「清宮の世代は、大型スラッガーが少なくない。清宮と肩を並べる存在と言われているのが、九州学院の村上宗隆捕手や龍谷大平安の岡田悠希外野手、履正社の安田尚憲内野手あたり。現段階で、この4人と比べると、金成のレベルが劣るのは否めない。もっと、股関節や膝、足首を柔軟にし、低めの球を巧く捌けるようになれば、もう一回り成長できるはずです」(同)

 課題はあるものの、期待を集める選手なのは間違いない。

 だが、祖父の力雄さんは、

「麗生はメンタルに弱い面があるから、正直、プロ野球には行かせたくない気もありまして……」

 と打ち明ける。

「野球を始めさせたのは、はしゃぎまわる子どもだったから疲れさせれば早く寝るだろうという考えからでした。娘はもう離婚していたので、父親に代わって私が野球チームに連れて行った。でも、ここまでのめり込むとは思いませんでした」

 急激に身長が伸びたこともあって、中学生のころから膝の故障に悩んだという。

「だから、膝が治っても下半身を鍛えるために負荷をかけるのを怖がっているところがある。3カ月前には、ピッチャーをしているときに打球が顔面に当たってケガをしました。そういった苦労が報われて、ようやく花開いた感じです。でも、将来は会社勤めをしながら楽しんで野球をするのが、麗生には向いているのではないかと思っています」(同)

“気の小ささ”がタマに瑕のモンスターだった。

ワイド特集「神帰月の超常現象」より

週刊新潮 2016年11月17日号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。