トランプ旋風でわかった“インテリの苦悩” ハーバードの学生がトランプ支持を表明できない事情
「ハーバード大学」にも吹き荒れた「隠れトランプ旋風」(3)
粗野で無教養、差別意識を隠そうともしない南部の白人男性たち――そんなイメージで語られがちな共和党候補ドナルド・トランプ(70)の支持層だが、世界中の英知が集うハーバード大学にも、隠れた支持者たちはいる。昨年の夏から1年間、同大学のロースクール(法科大学院)に留学していた山口真由氏が、“隠れトランプ旋風”の実状を明かす。
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さて、ここまでハーバードにおけるトランプ支持者の“思惑”に触れてきた。だが、トランプを支持していたのは彼らのような熱心な共和党支持者や、キリスト教徒だけなのだろうか。
私は思い出していた。ハーバード・ロースクールの友人であるケヴィンが、
「ヒラリーは信用できない。トランプの方がまだ信用できるよ」
と、酔った勢いで呟いていたことを。
「表現の自由」について学ぶクラスで、リベラルな教授は言う。
「共和党の指名争いは、歴史上稀に見る恥ずべき状態になっている」
トランプを「差別する人」、マイノリティを「差別される人」と表現した教授に対し、授業後の立ち話でケヴィンは不快感を隠そうとしなかった。
その決めつけこそが、ステレオタイプな差別だというのだ。
「すべての人がすべての人を差別していると言った偉人がいるけど、僕も同感だ。マイノリティだってある意味でトランプを“差別”しているんだと思う」
と説く彼の言葉は、ハーバード生だけあって説得力がある。そこで私が、
「なぜ、授業中に教授に反論しなかったの?」
と聞くと、
「一度、授業で同性婚に反対したことがある。授業が終わるとLGBT団体が僕の机まで来て、泣きながら抗議した。“あなたは私たちのことを嫌いなのね。だから、差別するのね”って。もううんざりだよ」
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