清原のシャブ共犯者・覚醒剤密売人インタビュー 「525本のホームランを叩き出した腕に打ちたくなかった」
清原和博(49)に覚醒剤を売っていた密売人、小林和之氏が告白本『密売』を出版した。それに伴い行われたインタビューで明かされたのは、知られざる事件の内幕だ。清原との出会いは2014年、小林氏が刑務所で知り合ったDという人物の仲介だった。以降、直接取引をすることになった小林氏は、月に1回のペースでシャブを販売。東北自動車道の佐野藤岡インターチェンジでの受け渡しのほか、清原と共にラブホテルで“味見”もしたと語る。
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捜査の手が迫る気配を感じるようになったのは、15年2月、Dが覚醒剤取締法違反で警視庁に逮捕されてからです。
Dは、借りた1億5000万円を返さず、清原さんと揉めている状況でした。
にもかかわらず、清原さんに面会に来ることを求め、弁護士費用を無心したり、差し入れをしてもらおうとしていました。
でも、清原さんは四国霊場八十八カ所を巡る“お遍路”に出かけ、また、Dと距離を置こうとしていたこともあって、応じなかった。それに逆恨みしたDがチンコロ(情報提供)を始めたというわけです。
そのころ、清原さんといつも泊まっていたラブホテルに行くと、「この前、警視庁の刑事が来て……」とスタッフが話しかけてきました。名刺を見せてもらうと、薬物事件を扱う“組織犯罪対策第5課”の刑事のものだった。その刑事は、出入りした車のナンバーの記録を数カ月分提出してほしいと要請してきたそうです。
品川ナンバーのベンツで、群馬の片田舎のラブホテルに通い詰めている清原さんがターゲットなのは明らかでした。
清原さんにそれを伝えると、「刑事は1人だったんですか? 普通は2人一組で行動するから、それは刑事ではないですよ」と反論してきました。けれど、清原さん自身、「いつも行くサウナに、普段見かけない男らがいて、工事現場の作業員でもないのに日焼けしていた。あいつらデコ(警察官)ですよ」なんて口にすることもあった。だから、さすがに私も「警察のマークがきつくなってきたから、もうやめましょう」と提案したのですが、清原さんは「大丈夫ですよ。捜査は打ち切りになりましたから」と根拠不明なことを言い出したりもしました。
豪快なホームランを叩き出してきた腕に…
■525本のホームランを叩き出した腕に…
その一方で、15年8月末にはダウンタウンの番組などにも出演するようになり、清原さんに復帰の兆しが見えてきた。
それで、清原さんは「シャブをやめるのに、最後は注射器を試したいから、小林さんに打ってほしい」と頼んできました。525本のホームランを叩き出した腕にシャブなんて打ちたくなかった。その気持ちを察したのか、清原さんは「先生、お願いしま〜す」とおどけてみせた。私は、ミネラルウォーターで溶かしたシャブを注射器で吸い上げ、血管に針を突き立てました。
それから3カ月間、清原さんは確かにシャブを断っていた。でも、12月になって、クリスマスが近づき、子どもに会えない寂しさが募ったのか、再び注射器が欲しいと……。
逮捕は目前に迫っていました。
■最後はコンビニ駐車場
16年1月31日の夕方、清原さんから注文があった。
受け渡しによく使っていた群馬のコンビニの駐車場で待ち合わせをすると、清原さんは夜9時ごろに到着した。
1グラム入りと0・3グラム入りのパケ、注射器とガラスパイプを渡し、4万円を受け取りました。清原さんは群馬に泊まっていく予定でしたが、ちょうどそのとき、携帯電話が鳴った。交際相手の女性からでした。清原さんは、「彼女が、帰ってくるまでマンションの下で待っていると言っているんですよ」と。私は「今日は帰った方がいいですよ」と促し、コンビニの駐車場から出ていくベンツを見送りました。
出会ってから17カ月間、一般的な1回の使用量0・2グラムで計算すれば、300回分以上のシャブを清原さんに売ったことになる。そのコンビニの駐車場での取引が最後でした。
その2日後、警視庁組織犯罪対策第5課の捜査員たちにマンションに踏み込まれ、清原さんは逮捕された。私も、それから13日後、逃亡先の沖縄で手錠をかけられました。
■輝かしい野球人生を台無しに
いま、清原さんがどこで生活をしているのかも知りません。
ただ、私の元妻を通じ、〈俺も更生に向けて頑張っています。小林さんもひとりじゃないですから、頑張ってください。またいつか何年か先、太陽の下で堂々と会えるように〉という言葉を伝えてくれました。
私にとって、清原さんと時間を過ごせたことは奇跡のようなものでした。それを失いたくなかったから、シャブを渡すことをどうしてもやめられなかった。そのために、清原さんの輝かしい野球人生を台無しにしてしまったことには、いくら後悔してもしきれません。
特集「『清原和博』に300回分を売った『覚醒剤密売人』ロング・インタビュー200分」より
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