急逝の平幹二朗、長男・岳大が明かしていた父との交流
俳優の平幹二朗さんが10月23日、突然世を去った。9月から10月9日までは舞台「クレシダ」に主演し、17日より放送が始まったドラマ「カインとアベル」(フジ系)にも出演中だった。
一人暮らしの平さんが浴槽で眠っているのを見つけたのが長男で俳優の平岳大(42)だった。弊誌(「週刊新潮」)(9月29日号)「私の週間食卓日記」では、父との交流にも触れていた。
〈行きつけの蕎麦屋で17時半に待ち合わせ。老人の夕食は早い。(中略)金時草(きんじそう)のお浸しを食べながら、新婚生活はどうだとにやけた父が聞く。白ワインをすすりながら「まあ、普通」と気のない返事。思ったより元気そうで安心した。「明後日から芝居の稽古だから今日で最後」と、もうワイン3杯目だ。〆に鴨南の蕎麦を頂いて、82歳の老優は自転車に乗って帰って行った〉
辻村氏の人形と(平さんの自宅にて)
だが、こうした関係は大人になってからのようだ。岳大は小学校4年の時に、母である佐久間良子や妹と共に家を出ている。24日に発表されたコメントには、
〈子供の頃、長い間、父と会わないでいる時間がありました。私が俳優になってからは、その失われた時間を取り戻すように、先輩として、演技の師として、そして父として濃密な時間を過ごすことができました〉
その父も俳優になった我が子を、当初は心配していた、と証言するのは人形作家の辻村寿三郎氏である。
「岳大さんがデビューした頃と思うけど、『一緒にやると神経使うんですよ』なんて話していました。苦労してますといいつつも嬉しそうでしたよ。平さんとのお付き合いは蜷川幸雄さん演出の『王女メディア』(1978年)以来ですから、40年近い。公私に亘りお付き合いして頂きました」
王女を演じる平さんが、せめて衣装だけでも女性らしくと探し出したのが、辻村氏のレリーフだった。
「それを元に平さんの衣装と同じ衣装の人形を作りました。人形はいまも平さんのご自宅にあると思います。修理もしましたからね。衣装の方は、10月から辻村寿三郎人形館(広島県三次市)で展示を始めたばかり。まさかこんな事に……」(同)