進まぬ憲法改正、菅官房長官が「審査会」に“待った”をかけたワケ

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 急がば回れ、と言っても、回りすぎてしまってはゴールにたどり着けない。安倍総理の悲願である憲法改正への論議がなかなかスタートしないのである。政治部デスクの話。

「総理が“まず憲法審査会で静かに議論を”と話している通り、憲法改正のためには衆院憲法審査会の議論を経なければならない。が、1年5カ月もの間、休眠状態になっているのです」

ちょい待ち!

 昨年6月、審査会で有識者が新安保法案について“違憲”と判断したことで紛糾し、議論はストップ。今回、審査会を再開すべく与野党で折衝しているのだ。

「野党側は中断した議論から始めようと譲らなかった。そこで与党筆頭幹事である中谷元前防衛相は“分かりました”と合意し、与党に持ち帰ったのですが、これが思わぬ火種となってしまいました」(同)

 審査会の自民党議員は、

「そんなことをすれば、また審査会で安保法が議題になる。幹事である平沢勝栄さんや公明党の北側一雄さんら皆から猛反対されました。中谷さんは“約束しちゃったよ……”と沈んだ顔をしていましたよ」

 合意を反故にされた野党は反発し、結果、20日に行われるはずだった与野党の幹事懇は流れてしまったのだ。実は、この背景には官邸の意向も働いていたのだという。自民党関係者の話。

「今回、菅官房長官も“そんな話は聞いていない”と待ったをかけたのです。そこには南スーダンの問題が絡んでいまして」

 というのも、

「稲田防衛相は先だって南スーダンを視察しましたが、新安保法に基づく“駆けつけ警護”の任務を自衛隊に付与するかどうかを検討しています。仮に、審査会で安保法の議論となってしまい、同時に南スーダンで大きな武力衝突でも起きれば、また批判の嵐となる。そこで、官邸側も先手を打ったというわけです」(同)

 なるほど、回り道は落とし穴を避けるためだった。

週刊新潮 2016年11月3日号掲載

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