競艇好きの坂上忍が仕事では絶対にバクチをしないわけ

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やりたいことをやるには、やるべきことをやってから……サラリーマンにも耳の痛い話だが、それこそが「仕事の面白さ」だと坂上さんは強調している

 新番組が始まるこの季節。放送翌日にはすぐ視聴率が発表され、「コケた」「惨敗」などと叩かれてしまう。一視聴者でも気になるのだから、タレントやテレビマンは胃に穴があく思いだろう。

 見ない日はないというほどテレビ番組に出演している坂上忍さんは、新著『スジ論』(新潮新書)で、視聴率への持論を次のように明かしている(以下、同書より引用)。

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 テレビマンあるあるのひとつとして、飲みの席などで視聴率の話になると決まって出る言葉が、「視聴率なんか気にしたってわかんないんだから、好きなモノを作りゃいいんだよ」と、「時間帯によって視聴者が求めているニーズに合わせながら、自分達のやりたいモノをいかに盛り込めるか」……なんです。

 なるほどな~とおもいつつも、よくよく考えたらこの2つの言葉って真逆ですよね。でも、この真逆ともおもえる言葉を同じ人が言ってたりする。

「視聴率」と「やりたいモノ」。要するに、この2つの鍵となるワードに世のテレビマン達は翻弄されながらも、だからこそのやりがいを見出していたりするわけです。

 そりゃあね、視聴率なんて気にせずにやりたいことをやって、結果的に高い数字が取れたら言うことないですよ。でも、それはどこかで理想論。だってこれだけ番組数があって、これだけの歴史があったら、時代の流れが十二分に反映された統計は取れていますから。しかし、だからといって100%成功するフォーマットが確立されているわけでもない。

 あ~、書いているだけでイライラする!

 結局、「視聴率」と「やりたいモノ」って、「現実」と「理想」ってことなんですかね。そう考えると、なにもテレビ業界に限ったことではなく、どの仕事も同じだろって。相反する2つのワードが繋がった時に成功が待ってるんじゃないのって。

■我慢して稼いでから好きなことをやれ!

 ちなみに、わたしの視聴率への関わり方は「立場」によります。MCであれば、物作りの喧々諤々(けんけんがくがく)に参加します。レギュラーゲストの立場の際は感想程度は言いますが、基本は身を委ねるスタンス。

 わたしは裏方のみの仕事もしますので、その時は死んでも赤字は出さない主義。赤字を出してもいい覚悟を持つ時は、会社に赤字分を補える余裕を持たせてから博奕(ばくち)に出る。むやみな勝負は、プライベートの競艇でしかしません。

 だって、自分が潰れるのは勝手ですが、会社を潰したら他人様にまで迷惑がかかっちゃいますからね。意外におもうかもしれませんが、会社を背負っての根拠のない勝負は、勝負とは言えない。無謀以外の何物でもない……と、わたしはおもっています。そこで勝負したけりゃ、耐えて忍んで種銭稼いでからヤレよ!って。

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 坂上さんによれば、ひと昔前の映画業界では、「やりたいモノを作りたきゃ3つ当てなさい。そしたら、好きなモノをひとつ作らせてやるから」と言われていたという。やりたいことをやるには、やるべきことをやってから……サラリーマンにも耳の痛い話だが、それこそが「仕事の面白さ」だと坂上さんは強調している。

デイリー新潮編集部

2016年10月31日掲載

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