口ほどにもなかった「二階幹事長」の手腕…新潟知事選は惨敗

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「毎日千本ノックだよ。忙しくって忙しくって」

いきなり敗軍の将に……

 つい2週間前まで嬉しい悲鳴のような声を上げていたのは、自民党の二階俊博幹事長(77)。就任から2カ月半、陳情に次ぐ陳情の処理に忙殺される日々のようだが、ときに党内のハレーションも厭わぬ動きを見せてきた。

 政治部デスクによると、

「まずは総裁任期を2期6年から3期9年に延長するという案をまとめ、次に、郵政選挙で造反した2人の子飼い議員を復党させるべきだと、公然と声を上げたのです」

 そして、対外的な手腕が初めて問われたのが、16日投開票の新潟県知事選だった。

「結果は、自公推薦候補の惨敗。8月末に泉田前知事が出馬辞退を発表した直後は、彼の後継者が出る気配がなく、与党は楽勝ムードでしたが……」(同)

 そこに現れた対抗馬が米山隆一氏(49)だった。

「彼はこれまで衆参合わせて4回の選挙に出馬し、いずれも敗北。出馬前に民進党も離党しました。二階さんは彼を泡沫候補と断じ、告示直後は県連にまかせっきりでした」(同)

 自民党県会議員が言う。

「米山さんは明確に反原発路線を争点にし、それが思いのほか奏功しました。加えて、“民進に裏切られたかわいそうな候補”という売り出し方も、主に無党派層の同情を誘い、米山支持の輪が急速に広がっていったのです」

 投票1週間前における情勢調査で「互角」という結果が出て焦った二階氏は11日にようやく現地入りし、その後、支持団体や地元議員の事務所を回った。

「二階さんは厳しい表情で『負けたら柏崎(刈羽原発)が動かなくなり、大変なことになる。しっかりやってほしい』と支援者らを引き締めたものの、時すでに遅し。最後まで票は伸びず終いでした」(同)

“千本ノック”も、ボールを捕ってこそ。この幹事長、剛腕で売っているものの、実は口ほどにもないと自民党の非主流派が気付いた時、蟻の一穴が開くのだ。

週刊新潮 2016年10月27日号掲載

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