豊洲の“共犯”に名が挙がる「日建設計」、五輪招致にも関与? 関連施設でも槍玉に
日建設計は非上場企業
2008年当初、東京都の専門家会議によって提言された豊洲新市場の「盛り土」は、2011年に大手設計会社「日建設計」が作った〈盛り土不要〉の技術提案書によって葬られた。市場問題プロジェクトチームのメンバーで建築エコノミストの森山高至氏は、新市場の設計を担当した「日建設計」は都庁幹部以上に問題の裏側を知っている、と指摘する。
都が豊洲市場の民間運営を検討していた当初のプレゼンにも参加していた日建設計。その後の直営検討段階で作られたスケッチは、日建設計が提案していたものと似ているといい、
「豊洲市場の本設計も同社が関わることが最初から既定路線になっていたと思わざるを得ません」(森山氏)
東京タワーや東京ドーム、東京スカイツリーなどの有名建築を手掛けた同社は、公共工事の調査段階から情報を得て施主と関わる“仕事を作る”営業方針で、大手ゼネコンをも凌ぐ実力をもつと言われる。
■五輪招致でも
“仕事を作る”手法はオリンピックの招致活動でも発揮されたという。無論、きれいごとばかりではない。
「ゼネコン同様、日建設計も政界・官界担当の役員がいてせっせと永田町通いをしていたことは有名です。なかでも、民主党政権時代、同社の官邸に対する食い込みぶりは有名でした。また、東京が落選した2016年大会の招致合戦では、海外でのプレゼンに京都祇園の舞妓を送り込んでいますが、これを仕掛けたのは同社の副社長(当時)だと言われています。国立競技場のある神宮外苑周辺の開発をスムーズに行うため、明治神宮の元宮司夫妻を豪華な海外旅行に招待したのもこの副社長の仕切りと聞いています」(スポーツジャーナリスト)
こうしたことが出来てしまうのは、日建設計が非上場企業だということもある。
「たとえば地方の公共事業の調査の依頼を受けたとします。100万円の仕事に対し地元のゼネコンに調査費名目で500万円の発注を出すことで、地元ゼネコンのみならず、その背後にいる地方議員や役人と太いパイプが作れる。非上場会社は簡単に資金の流れを追うことが出来ませんから、大手ゼネコンに比べても金の使い方が自由なのです」(ゼネコン関係者)
■「盛り土不要」の共犯
ところが、圧倒的な力を持っているはずの日建設計に“土”がついたのが、皮肉にも新国立競技場の建設計画だった。
「ご存じのように12年11月に新国立競技場のデザインコンペで選ばれたザハ・ハディド氏の案が、とてつもない工費になると問題になります。そこで、デザインコンペで敗れた日建設計がチャンスとばかりに基本設計、実施設計などを担当してザハとチームを組むのです。しかし、出来上がったイメージ図は流線型だった当初とまったく違い、亀が伏せたような形になってしまった。おまけに総工費で3000億円を超えると報じられ、安倍総理によって白紙に戻されてしまう。結局、最終案は隈研吾氏のグループにさらわれてしまいました」(同)
泣きっ面に蜂とはよく言ったもので、新国立競技場に続いて、東京五輪の総事業費が3兆円に達することが分かると、日建設計が請け負った「有明体操競技場」も槍玉に挙げられる。そして、今度は豊洲市場でも、「盛り土不要」の共犯として浮上しているというわけである。
同社のホームページでは、
〈(盛り土不要の提案は)工事期間と工事費の圧縮を図る提案のひとつとして示したものです〉
とある。とまれ、豊洲市場問題をただの“から騒ぎ”で終わらせるかどうかは、小池都知事の腹一つにかかっている。
特集「豊洲疑惑『最後の黒幕』として急浮上! ゼネコンもひれ伏す『日建設計』の金儲けと人脈」より
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