田中真紀子、政界復帰は諦めずも“田中王国”消滅への道

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 自民党の幹事長や副総裁などを務めた大物政治家、故・大野伴睦はこんな名言を残している。〈猿は木から落ちても猿だが、代議士は選挙に落ちればただの人だ〉。2012年の総選挙で議席を失った田中真紀子サン(72)。永田町ではすでに過去の存在だが、地元でも“ただの人”になりつつあるという。

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 9月29日告示、10月16日投開票の新潟県知事選では、東電柏崎刈羽原発の再稼働などが争点になる見通しだ。現職の泉田裕彦知事が出馬を見送ったことで、自公推薦の前長岡市長・森民夫氏や、共産、生活、社民の推す米山隆一氏ら4人が立候補を届け出ている。

初の女性総理候補と呼ばれたが

 告示日の2週間ほど前、真紀子サンが地元・長岡市内で開いた集会で、支援者の1人がこう質問した。

「県知事選には立候補しないのですか」

 これを聞いた彼女は笑みを浮かべて、

「残念ながら、今回は準備不足で出馬しません。長らく、私を支援してくれた森さんを応援しようと考えています」

“今回は”という含みを持たせる発言に、支援者の多くは彼女が政界復帰を諦めたわけではないと感じたようだ。しかし、

「気丈で知られるお嬢も、最近は弱気なのです」

 重い口を開いた後援会幹部が続ける。

「2年前の総選挙で出馬を断念して以降、お嬢の政治活動は激減し、地元では人気も、影響力も低下しています。県知事選も応援する気持ちは十分あるようですが、実際に森陣営から応援要請があるかどうかは疑わしいので……」

 昨年の「政党交付金使途等報告書」を見ると、真紀子サンが支部長を務めていた民主党新潟第5区総支部は交付金、支出、残金、いずれも0円。活動実態は窺えず、3月に民進党へ衣替えした後には、支部長名簿から彼女の名前は消えている。

■パパの書類送検

 真紀子サンが弱気になる理由は、パパこと田中直紀元防衛相(76)の“事件”も関係している。別の後援会幹部がこう囁く。

「7月の参院選で落選したパパは選挙期間中に無届けの文書を有権者に配り、公職選挙法違反で運動員2人とともに9月21日に書類送検されています。実は、その文書を有権者に配った時、真紀子さんも同行していたのです。珍しく彼女も責任を感じたようで、“パパに悪かった。そろそろ世代交代の時なのかしら”と、寂しそうに漏らしていました」

 田中夫妻には3人の子供がいる。そこで後援会幹部たちが“王国の継承者”と期待しているのが長男の雄一郎さん(46)だ。

「雄一郎さんは、慶応大学経済学部在学中に公認会計士資格を取得した秀才。数字に強いのみならず、容姿も角栄先生の若い頃に生き写しですから、立候補すれば地元でも受け入れられるはずです」(同)

 だが、彼女の元公設秘書で、実体験を綴った『わたしは特別なのよ!』の著者である須藤義雄氏によれば、

「落選して行き場のない真紀子さんは、ファミリー企業『越後交通』のオーナーとして経営に口を挟んでいます。確かに、雄一郎さんへの待望論は根強いですが、ご本人は仕事が多忙で地元に姿を見せることはほとんどない。結局、待望論は幻に終わるのではないでしょうか」

 かくして、田中王国は消滅への道を辿っているのだ。

「ワイド特集 男の顔は履歴書 女の顔は請求書」より

週刊新潮 2016年10月13日神無月増大号掲載

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