小池都知事が駆使、小泉譲りのポピュリズム政治 “悪玉を設定して叩く”

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自民党都連のドン、内田茂都議

 仮想敵をつくり、民意を煽って共に叩き、人気を集める。ポピュリズム政治家の手法を駆使して、小池百合子都知事は一躍、時の人である。政界渡り鳥だからこそ身に付けた、小池流「ドン退治」のルールブックとはいかなるものか。

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 都知事選が、“小池劇場”の舞台だったのは間違いない。自民党都連のドン、内田茂都議を悪者に仕立て上げ、自らは悲劇のジャンヌ・ダルクの役回りを務めた。

 都庁担当の記者が解説する。

「小池さんは、“都連には、利権で動くドンがいる”などと批判を繰り返す一方、女ひとりで強大なドンに立ち向かう姿を演出し、同情票を集めました。さらに、知事就任後も内田都議をターゲットに据え、オリンピック利権、豊洲利権の闇を暴くとして、メディアを巻き込み、劇場型政治を展開しているのです」

 しばらくは、小池都知事と自民党都連のドン、内田都議とのバトルは収まりそうにないという。

「内田都議は、ドンと呼ばれるだけあって、これまで都知事よりも実力者と言われてきました。ですから、小池さんにとっては、まさに政敵。彼女自身が権力を奪取し、スポットライトを浴び続けるために、ドンの弱体化を図るという戦術に出ているわけです」(同)

 小池都知事は、政界渡り鳥として、時の権力者に寄り添うたびにそれぞれの政治手法を習得してきた。

■新聞にリーク

 政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏によれば、

「小泉純一郎元総理からは、徹底的に民意を味方につける術を学んでいます。小泉さんは、永田町の枠を飛び越え、民意と直結するタイプの政治家です。しかも、常に敵をつくり、“戦っていくんだ”という姿勢を示すことで、自らを目立たせていくスタイルを取っていました。その真骨頂が、郵政選挙です。郵政民営化法案に反対する勢力に“抵抗勢力”というレッテルを貼り、衆院解散に踏み切りました。その“小泉手法”を踏襲しているのが小池さんです」

“ドン退治”のルールブックは、小泉手法に基づくものだというのだ。

 それが遺憾なく発揮されたのが、07年に第1次安倍内閣で防衛大臣に抜擢された際の、“防衛省の天皇”とも称された守屋武昌事務次官(当時)との対決だった。

 どのようなものだったのか。

 防衛省関係者が言う。

「小池さんが防衛大臣として華々しい実績を収めるには、普天間基地の辺野古移設を前進させることが必要でした。沖縄県側は、その見返りとして、振興策の税金バラマキにストップをかけた守屋さんの更迭を要求した。すると、就任わずか1カ月で、小池さんは守屋さんの更迭人事を新聞にリークし、既成事実化を図りました」

 なぜ、それほど急いでいたかというと、辺野古移設の前進を手土産に、ライス米国務長官(当時)との会談に臨みたかったからだという。

「小池さんは、自分の野心を満たすためなら周りにどういう影響が及ぶのかなど考えようともしません。豊洲の地下空間やたまり水にしても、専門家が問題なしと指摘しているのですから、本来なら、それで良しとすべきではないでしょうか。なのに、さも大事件が起こったかのように大騒ぎするのは、いつもの小池さんのやり方。そして、一旦、彼女にとって都合の悪いことが出てくれば、防衛大臣のときと同様、知らんぷりをするに違いありません」(同)

 嘘とペテンは盛り土だけではないのだ。

「特集 嘘とペテンで盛り土した『豊洲と五輪』7問答」より

週刊新潮 2016年10月13日神無月増大号掲載

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