アーノルド・パーマー死去 日本を“傘”だらけにしたゴルファー

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 たとえゴルフに縁がなくても、傘マークのブランドとしてなら、誰もが知るアーノルド・パーマー。米国の男子ゴルフツアーで通算62勝、4大メジャー大会でも7勝と、その名をゴルフ史に深く刻んだ男が、9月25日、心臓疾患による合併症で亡くなった。享年87。

マスターズには74歳まで出場(イメージ)

 ゴルフジャーナリストの児島宏氏が言う。

「上位を追い上げる時、次々と攻めていく“パーマー・チャージ”は凄かった。波に乗るとバーディーの連続ですからね。スイングした後、両手を頭上に高く上げる独特なハイ・フィニッシュと、攻撃的なゴルフが彼の持ち味でした」

 そのプレーを一目見ようと集まった大勢のギャラリーが、ゾロゾロと一緒にコースを移動する。アーニーズ・アーミー(アーニー軍団)と呼ばれるファンが付くほど人々を虜にした。

「シニアの試合で日本に来た時ですから、20年ほど前です。彼が練習している姿をファンの女の子が見ていたら、ウインクしてくるんです。偉くなるとファンに見向きもしなくなる人もいますが、彼はそんなことはなく、気さくで優しい。人間味がありましたね」(同)

 それだけではない。傘マークの「アーノルド・パーマー」ブランドも展開し、70年代から80年代に掛けてアパレル商品を大ヒットさせた。

 ライセンス管理をするIMGジャパンによれば、現在、約15社がゴルフグッズをはじめ、靴、傘、帽子、眼鏡、タオルなどを売り出している。そのうちの一つ、1972年からカジュアルな衣料品を販売している、レナウンの担当者が言う。

「当時を知る者から伝え聞いたところでは、彼の前向きでアグレッシブなスタイルが当社の目指すものと重なり、取り扱うことになったそうです。近年では、現役時代の彼を知らなくても、傘マークが可愛いと言って買われるお客様もいます。お陰さまで、社の歴史の中では、大事なブランド、小売りビジネスの主力です」

 偉大なゴルファーが魅了したのは、プレーだけではなかった。

週刊新潮 2016年10月6日号掲載

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