豊洲“地下空間” がなければ地震で被害…東北大名誉教授が指摘
建設中だった時の豊洲市場
〈謎の空洞〉〈安全性の意識低い〉など、まるで手抜き工事と言わんばかりに新聞、テレビが報じた豊洲新市場の「地下空間」――。小池都知事が安全性の再検証を命じた“危険の温床”が、耐震性に優れていると専門家たちは口を揃えるのだ。
全国の欠陥住宅や建築物の第三者鑑定機関であるNPO法人「建築Gメンの会」副理事長で、一級建築士の田岡照良氏が言う。
「盛り土の上に建物を作るなんていうのは、豆腐の上に家を建てるようなもの。耐震面を考えれば、地下に基礎となるコンクリートの空間を埋め込んでおくのは、建築の世界では常識です。ましてや、豊洲市場のような大きな建築物であればなおさらです。こんなこと、庶民建築家の私でも知っていることなんですが……」
ならばと話を聞いたのは、土木学会の権威でコンクリート工学が専門の東北大学名誉教授の三浦尚氏である。
「土木の世界では、“盛り土の上に建物を作るな”とよく言われます。新しく土を盛ったところにある建物は、いざ地震が発生するとグラグラと揺さぶられて甚大な被害が発生してしまう。それだけ盛り土は地震に弱いのです。新市場の主要な建物は、盛り土をせずに地下空間を設けたことで、基礎、つまりは本来の地盤に近い深い部分まで構造物が作られたことになる。一般住宅でも、新築の際は予算に余裕があれば、地下室を設けた方が丈夫になります」
埋め立て地の豊洲では、大地震で液状化被害も懸念される。世間から疑惑の目を向けられた“日陰者”の正体は、食の安全のみならず、市場で働く人々を守る“縁の下の力持ち”だった。
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