豊洲の「ベンゼン」「ヒ素」は基準値以下でも危険なのか

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猛毒のヒ素が環境基準の4割?(イメージ)

 モノは言い様である。地下の床に溜まっている水を共産党が調査した結果、

「猛毒のヒ素が環境基準の4割に及ぶ値で検出されました」

 と公表。その一方で、都も同様に調べたところ、ベンゼンは確かに検出された。が、環境基準値を超えることはなかった。共産党の場合、「猛毒」とか「4割」が独り歩きするが、何のことはない、ベンゼンもヒ素も基準値以下なのだ。では、そのレベルで危険なのか否か。

 京都大大学院(工学研究科都市環境工学専攻)の米田稔教授によると、

「検出されたヒ素は井戸水に含まれているような、自然界に存在するのと同じレベル。たとえば海水1リットル中の平均的ヒ素濃度は0・002~0・003ミリグラムで、共産党の調査結果と同等。つまり、ヒ素濃度という点では遊泳中にうっかり海水を飲んでしまうのと変わりません」

 また、揮発性で発がんリスクが高いとされるベンゼンについては、

「ベンゼンは線香の煙や排ガスなど、身の回りに存在しています。ただ、環境基準程度のベンゼンを含む空気を毎日吸い続けても増える発がん確率は、0・001%。対して、副流煙が流れる場所で生活しているときの肺の発がん確率は、約1%に跳ね上がります」(同)

 ごく単純に言えば、煙草の発がんリスクはベンゼンに比べ、1000倍も高いというわけだ。

「これまでのモニタリング結果からも、施設内の大気は東京都内と同レベルと考えて良い。たえず副流煙が漂っているような状況に比べれば、施設内で過ごした場合の発がん確率は無視できる程度なのです」(同)

 基準値とはそもそも、厳しく見積った数字と言えよう。

「特集 地下に溜まった怪しい強アルカリ水! ピラミッドより謎多き豊洲の巨大建造物! 意味不明が多すぎる『豊洲のパンドラ』20の疑問」より

週刊新潮 2016年9月29日号掲載

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