「小池百合子」金銭スキャンダル(2) 施工業者が資金管理団体に寄付…一般人では手を出せない物件
東京都の小池百合子知事(64)の金庫番を務めてきた水田昌宏氏は、知事の親戚を自称し、練馬区内の通称「エコだハウス」に同居する人物だ。そんな氏が行っていた特権的錬金術。氏が経営する高崎のマンション、そして「エコだハウス」を含む複数の物件をめぐる話である。
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東京都の小池百合子知事(64)
それではまず、高崎のマンションについて詳述していこう(※図参照)。件のマンションはJR高崎駅から徒歩5分という好立地。土地の広さは約102坪だ。話の発端は、12年12月、香川県高松市に本社がある穴吹興産が、この約102坪の土地を含む約476坪の、ほぼ長方形の土地に〈条件付所有権移転仮登記(条件 売買代金完済)〉を設定したこと。元の所有者は鉄工所の社長で、すでに他界している。ちなみにこの仮登記の意味は、
「文字通り、条件が満たされた時に所有権が移る、という約束のもとに行われる“仮”の登記。まずいくらかの頭金を支払い、残金を支払い終えれば所有権が移るという理解で良い。平たく言えば、“ツバをつけておく”という意味がある」(司法書士)
元々は西日本を中心にマンションなどを供給してきたが、近年は関東にも積極的に進出し、東証1部に上場している穴吹興産。同社が“ツバをつけた”この土地はその後、奇妙な展開を辿る。まず、翌13年3月21日、約102坪の部分のみが分筆される。分筆とは、ある1つの土地を登記上で複数にわけることを意味する用語である。そして4月9日に約102坪の部分が水田氏に、残る約374坪の部分が穴吹興産に所有権移転される。
図
■「お礼」を寄付で?
水田氏のマンションの着工は10月1日だが、先に触れた通り、マンションの施工を担当した「造家建設」という前橋市内の会社の大滝博史社長が、小池氏の資金管理団体「フォーラム・ユーリカ」に100万円を寄付したのは10月末(※(1)参照)。水田氏から施工業者に選ばれた「お礼」を、寄付という形で支払ったようにも見えるのだ。水田氏の8階建ての賃貸マンションが完成したのは14年3月。その南側に穴吹興産の15階建ての分譲マンションが完成したのは、15年2月だ。
登記簿を確認すると、水田氏が土地を取得したのと同日、群馬銀行が4億1500万円の抵当権をつけているが、これは、
「水田氏が群馬銀行から金を借りてこのマンションを建てた、ということ。土地の価格は坪50万で計算すると5000万円。あのマンションは延べ床面積が約450坪で、建坪100万円で計算すると、4億5000万円。ざっと見積もって計5億円かかったことになるので、数千万円の自己資金を出したか、あるいは全て込みで4億1500万円、つまりフルローンで建てた可能性もある」
と、近隣の不動産業者は説明する。さらに、このマンションの経営でどれくらいの儲けが出るのかについてシミュレーションしてもらうと――、
「あのマンションには36平方メートルほどの部屋が28あり、1階には店舗が1つ入っている。部屋の家賃は7万8000円、店舗の家賃が40万円と設定すると、家賃収入は満室で月258万4000円、年間3100万円。固定資産税や賃貸管理経費など諸経費を15%とすると、満室で月219万6400円となります」
無論、常に満室であり続けることはないが、
「あの物件は駅近なので空室率を5%で計算すると、月208万3350円。フルローンで借りていた場合は月々の返済額が30年ローンなら153万3920円、35年ローンなら137万4740円。つまり前者の場合は月の家賃収入は54万9430円、後者の場合は70万8610円です」(同)
フルローンだと仮定すると、自己資金を一切使わずに立派な自分名義のマンションが建ち、さらに毎月数十万円の“日銭”が入ってくる。その上、施工業者から100万円の寄付まで受けているのだから、これはまさに「濡れ手で粟」以外の何物でもない。また、数千万円の自己資金を投入していたとしても、疑義は残る。そもそも、水田氏は10年に小池氏の練馬の自宅の共有者になっているが、その際、抵当権はついていない。つまり、数千万円をキャッシュで払った可能性があるのだが、その上に高崎のマンションに自己資金を投入できるとは、一体、いかなる錬金術を駆使しているのか、という話なのだ。
■仲介がなければ入手できない土地
さらに、この土地を巡る一連の経緯には不可解な点が多々ある。1つは、元々はほぼ長方形の“きれいな”形だった土地を、なぜわざわざ分筆してしまったのか、という点だが、これについては先の近隣の不動産業者も首を傾げる。
「確かに、なぜあのような形にしてしまったのか違和感がありました。しかも、そこに後に賃貸マンションが建つことにより、穴吹の分譲マンションの日当たりは悪くなってしまった」
この点については、土地の元の所有者である鉄工所社長の息子も、
「売った側の認識としては、約476坪の土地全てを穴吹興産に売却したものだと思っていました。敷地いっぱいに分譲マンションが建つのだと思っていましたし、所有権ももちろん穴吹に移っているものだと……。まさか登記がこんなことになっているとはね」
と、怪訝な顔をするのだ。
「土地を売った後、先に白いマンションが建ったので変だなとは思っていたのです。で、穴吹の方に尋ねると、“実は別の人に売ったんです”と言う。誰に売ったのか、と聞くと“まあ、それはちょっと……”と口を濁していました。今回、改めて経理の先生に問い合わせましたが、契約書に父と穴吹興産以外の第三者の名前はないし覚書もないと言っています」
鉄工所社長の弟の話。
「兄貴はあの土地を売る数年前から土地を処分する腹積もりになっていたようだ。で、実際に売るという段になった時、ある伝手を頼って、不動産屋を通さずに穴吹興産に売却の話をつけたと聞いている。穴吹にはずいぶん安く買い叩かれたんじゃないかな」
最大の疑問は、水田氏がこの土地をどうやって見つけてきたのか、という点である。そもそもこれは、穴吹興産の仲介がなければ絶対に入手できない土地である。となると、穴吹興産が水田氏に対して「儲けのチャンス」を与えた、便宜を図ったと疑われても仕方ないのではなかろうか。あるいは、水田氏が一般人とは違う「特権的な立場」を利用してこの土地の斡旋を受けた、との見方もできよう。
「確かにこの土地は、穴吹興産が手続きをしてきた一部ですから、買い手を広く求めるような種類の土地ではない。穴吹興産と買い手との間に何らかのコネクションがあったとしか思えません」(不動産鑑定士)
■食い違う説明
2つのマンションの建築中の写真を確認すると、先に完成に近づきつつある水田氏のマンションの側面に、穴吹興産の広告が掲載されていることが分かる。これなど、穴吹と水田氏が「深い関係」にあったことの何よりの証拠だろう。
穴吹興産関東支店長は次のように語る。
「便宜を図って土地を切り売りした、といったことは一切ありません。個別の取引についてはお答えできませんが、問題のないような『第三者のためにする契約』を進めさせていただいております」
話の中に出てくる「第三者のためにする契約」とは何かというと、
「所有権がAからB、BからCに移っているものを、AからCという部分だけ記載することを中間省略登記と言って原則禁止されているのですが、代替となる方法が2つあり、そのうちの1つが『第三者のためにする契約』です。具体的には、AさんとBさんが土地の売買契約を結び、BさんとCさんも土地の売買契約を結ぶという方法です」(土地取引に詳しい弁護士)
一方の水田氏は代理人の弁護士を通じて、
「前所有者と穴吹興産との間の売買契約につき、通知人(水田氏)が穴吹興産から『買主たる地位の権利譲渡』を受け、前所有者から移転登記を受ける形となっております」
と、回答してきたのだが、先の弁護士は首を傾げる。
「『買主たる地位の権利譲渡』も中間省略登記の代替となる方法の1つですが、『第三者のためにする契約』とはやり方が全く異なります。穴吹と水田氏、そして前所有者が食い違う説明をしている時点で、何か奇妙ですよね」
いずれにせよ、到底一般人が手を出せるような不動産取引ではなく、水田氏が「特権的な立場」にあるからこそ入手できた土地であることは間違いないのだ。
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特集「改革の旗手に『政治とカネ』! 記事化前から訴訟を匂わす警告書5通! 都知事『小池百合子』金庫番が手を染めた特権的錬金術」より
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