地元と揉める佐藤ゆかり、すがるは二階幹事長

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 もし政治家に“嫌われる力”が必要だとしたら、彼女は既に大臣、いや総理の器か。どこに行っても、地元と“揉められる”佐藤ゆかり代議士(55)。またこの度も、ニッチもサッチもいかなくなって、すがった先は、あの実力者――。

 岐阜→東京→参院比例→山形と転々。その度に跡を濁してきた彼女の今の飛来地は、大阪11区(枚方市、交野市)だ。

 そのゆかり議員、

「最近上機嫌なんですよ」

 と言うのは、地元の後援会のメンバーである。

「来月行われる政治資金パーティーのゲストが、二階幹事長に決まったんです。就任直後に本人がお願いに上がったら受けてくれたそうで、地元には既に案内状を大量に撒いています」

「佐藤ゆかりを激励する会」は10月16日にホテルニューオータニ大阪で開催される。2部構成で、1部で行われる政経セミナーの講師が二階氏。議員在職10周年の祝賀も兼ねる。

「本人は喜色満面。“1000人集めるわ!”と、パーティー券売りに今までにない力を入れていますよ」(同)

 大実力者が自分のために身体を空けるのだから、興奮しないワケがない。しかし、彼女の場合、おおいに張りきりたくなってしまう“事情”も別にある。

いつの間にか「ゆかりタン」と言われなくなった……

■2人と断交

「地元の党組織との亀裂が、もはや抜き差しならない状況になっているのです」

 と言うのは、自民党の大阪府連関係者。

 事の発端は、枚方市を地盤とする出来成元(できしげちか)前府議との対立だ。党運営を巡って揉めた2人の関係は、今年5月、地元業者からの献金200万円の処理の仕方について、双方が刑事告発し合う異常事態に陥った。

「出来さんは、自民党の枚方市支部の支部長でもある。それに加え、7月の参院選の後、交野市支部の支部長である府議もゆかりサンとトラブり、11区の役職を辞任。口も利かないほどの関係になりました。選挙区が抱える2つの市の組織のトップと断交したのですから、次の選挙は大変ですよ」(同)

 さらには、8月31日、党の古屋圭司選対委員長が産経新聞のインタビューに「(当選1、2回生は)後援会や地元の地方議員との友好関係を作れるような強い政治家にしていきたい。そうでない人には厳しくする姿勢も必要だ」と答えた。まるで自分を指すかのような内容にさぞ震え上がったことであろうが、そんな中での「二階来訪」である。

「彼女はこれを利用するでしょうね。地元に対し、私のバックは二階さんだから、うまくやらないと損ですよ、とね」(先の関係者)

 と言うから、気を高ぶらせるのも当然なのだ。

 もっとも、

「二階会長にとっては、セミナーは呼ばれたから行く、というだけの認識しかありませんよ」

 とこれを冷ややかに見るのはさる二階派のメンバー。

「だから、地元から彼女の資質を問う声が党に上がってきたら、遠慮なく裁定するはず。だって、うちの派閥には、ゆかりサンの天敵として有名な片山さつき議員もいるし、11区の前任者である井脇ノブ子さんも未だに会合に出てきている。ゆかりサンの悪評は、よーく耳に入っていますから」

 色目の艶も何のその。この「ラスボス」の籠絡は、とても一筋縄では行きそうにないというワケだ。

「ワイド特集 何者!! 何様!!」より

週刊新潮 2016年9月22日菊咲月増大号掲載

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