トム・ハンクスがエッセイ執筆 狙うはピューリッツァー賞?

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 トム・ハンクス(60)が、「ハドソン川の奇跡」(クリント・イーストウッド監督、日本公開は9月24日)を携えて、3年ぶりに来日して、記者会見も行う。

 その名優が意外なところにも登場。文芸誌「すばる」10月号に、「おれはトム。タイプライターで書くのが好き。わかる?」(訳・飯野友幸氏)というエッセイが掲載されている。13年8月に「ニューヨーク・タイムズ」紙に発表されたものだ。

二刀流

 
〈タイプライターで叩くと一文字ごとにガツンと音がする。(中略)文学の大作みたいな重い響きがする〉などとタイプライターに触れる喜びや熱き思いを綴る。

 14年10月に「ニューヨーカー」誌に「アラン・ビーン号で月旅行」なる短編小説を書き、こちらも「すばる」(15年3月号)に飯野氏の訳で紹介された。

「当時、アメリカでの反応はいまひとつだったそうです。涙と感動の物語かと思えば仲間と手作りした宇宙船で月旅行をするお話。映画『アポロ13』の主役だけあり、宇宙船や宇宙の描写は専門的で臨場感たっぷり。一方、乗組員は窓に映る地球を背景に自撮りしたり普段の暮らしのよう。スマートフォンなどが発達した現代への風刺とも読めますが、ユーモアが魅力です。タイプライターが好きでも、昔が良かったとは言わない様子と重なります」(文芸評論家)

 アカデミー賞は主演男優賞を93年から2年連続受賞。

「トム・ハンクスは信頼できる男、と人柄も好かれています。タイプライターを打つことで書く表現を体感しているとは、演技に対する誠実な態度と同じです」(映画評論家の北川れい子氏)

 すでに名門のクノップ社が出版契約を結ぶ。ピューリッツァー賞には文学の部門もあるのだ。小説を発表したハリウッド俳優自体ごく少数。乞う、御期待か。

週刊新潮 2016年9月22日菊咲月増大号掲載

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