独メルケル、お膝元で敗北 退陣へのカウントダウン
「欧州の女王」の異名も空しく、アンゲラ・メルケル独首相(62)が窮地にある。
「旧東ドイツ北部のメクレンブルク・フォアポンメルン州で4日、州議会選が行われたのですが、右派政党〈ドイツのための選択肢〉(AfD)が躍進、メルケルが党首を務めるキリスト教民主同盟(CDU)が大敗したのです。政権には強い衝撃でした」(現地記者)
昨年、国内に100万人以上の難民を受け入れることとなったメルケルの政策を反イスラム、反ユーロを掲げるAfDが激しく非難、20・8%もの得票率を得たばかりか、CDUを押しのけ第2党に躍り出たのだ。
在独ジャーナリストの熊谷徹氏は言う。
「彼女の難民政策には不満が高まっていましたが、この地域はメルケルの選挙区があるお膝元。雇用対策で失業率が低下していたにもかかわらず、無党派層が投票率を押し上げた上で彼女にノーを突きつけたのです。AfDは16の州議会の内、9つで議席を得たことになり、ドイツにも右派ポピュリストの波が到達したことを示しています。2桁以上の得票率は、来年の連邦議会選挙でも議席を得ることが確実視される数字です」
メルケルはといえば支持率が過去5年で最低を記録、大連立政権を組んでいた第1党の社会民主党(SPD)もメルケルを非難する側に回っており、孤立無援だ。
「来年はメルケルにとって運命の年となるはず。しかし党内に後継者が見当たらないのが難問です」(同)
“女王”の耳にはカウントダウンが聞こえている――。