GACKTがのめりこんだ詐欺ファンド 3億超の自宅を売却して出資?
遠藤周作、高倉健、小田和正……。彼らの共通点は何か。さるコーヒーのCMに出演した「違いがわかる男」ということである。さて諸賢は、当代きっての違いがわかる男といえば誰を思い浮かべるだろうか。
もはや風物詩となった感すら漂う正月の人気番組「芸能人格付けチェック」(テレビ朝日系)で、ワインや牛肉の味、はたまたバイオリンの音色や映像演出の巧拙など、味覚、聴覚、視覚を駆使してあらゆるものの違いを見極めてきた男。その名は、ミュージシャンにして俳優のGACKT(43)。彼は目下、この「見極め戦」で2009年来、42連勝を重ね、和田アキ子や梅宮辰夫らをものともせず、同番組内で「一流芸能人」の称号をほしいままにしてきた。
ミュージシャンにして俳優のGACKT(43)
GACKT、またの名、ザ・違いがわかる男。
だが、そんな「完全無欠」な彼にも見定められないものがあった――。
〈資産運用装い詐取容疑/無登録ファンド、113億円集金か〉(朝日新聞)
〈投資会社社長ら逮捕 警視庁/詐欺容疑 113億円集める〉(毎日新聞)
8月25日の夕刊各紙にはこんな見出しが躍った。
■「小僧寿し」も1億円
「『クエストキャピタルマネージメント(以下クエスト)』なる都内の投資コンサルタント会社が、09年から昨年までの間に、15都府県の出資者約60人から、運用実態のないファンドに計113億円超の金を出資させていた疑いで警視庁が捜査に着手した詐欺事件です。ちなみに、寿司チェーンの『小僧寿し』も1億円出資しています」
と、大手メディアの社会部記者が説明する。
「クエストは、先物商品の一時的な価格差を利用して確実に儲かる『アービトラージ』と言われる取引を掲げ、『リスクはほとんどない』『元本保証の上、必ず利益が出る』『毎月数%の配当を手にできる』などと謳(うた)い、顧客から金を集めていた。独自の高速コンピューターシステムが、市場の動向を一瞬で自動判断して価格差を掴めると説明していたものの、運用実態がほとんどなかったことに加え、そもそも高速システム自体、開発できていなかったと当局は見ています」
こうして詐取した金を、クエストの社長で今回、逮捕された松井直幸(47)らは、
「『見せ金』として一部配当してはいましたが、これは実態のないファンドを、あたかもちゃんと運用しているように見せかけるためのもの。出資金の多くは高級車好きの松井の車購入費や遊興費に充てられたと見られています」(同)
詐欺事件に詳しい紀藤正樹弁護士が解説する。
「本件の特徴は、出資総額113億円に比べて出資者が約60人と少ないこと。一般的な投資詐欺事件でのひとりあたりの『被害単価』は数百万円が相場です」
松井らが「大物」を狙っていた節が窺(うかが)えるが、被害者には同情の念を禁じ得ない一方、「うまい話には裏がある」を地で行く事件にも映る。何はともあれ、この類の話にまさか「一流」の芸能人が引っ掛かることはあるまい。ところが――。
■自宅まで売却
「問題のファンドには芸能人も出資している」
と、ある捜査関係者が声を潜める。
「GACKTだ。12年には、東京都世田谷区にある彼の自宅に東京国税局が査察に入り、14年にはGACKTの元ファンクラブ運営会社と元所属事務所の経営者が脱税したとして東京地裁で有罪判決が下された。最近の彼は、何というかケチがつきまくっているな。クエストのファンドにも億単位の金を注(つ)ぎ込んだようだ。被害届が出されているみたいだな」
警視庁関係者が後を受ける。
「GACKTは投資にかなりのめり込んでいた様子です。というのも、クエストのファンドに出資する際、彼は世田谷の自宅まで売却したと言いますからね」
実際、登記上、GACKTの自宅は一昨年7月に売却されているが、この家は界隈や芸能界では「名所」として知られている。
「約400平方メートルの土地に、地上4階、地下2階のデザイナーズ・マンションが建ち、地上階は事務所やスタッフの居住スペースで、地下階はGACKTの自宅スペース。そこには、なんと滝が流れていて、古代ローマ風のバスルームは広さが30畳もある。この豪華な自宅スペースに、丸刈りで話題になった当時の恋人で歌手のICONIQ(アイコニック)を住まわせていました。そんな愛の巣も、投資の『元手』を工面するために、彼の知人で九州の有名企業グループの社長に買い取ってもらったと言うんです」(前出記者)
なお、近隣の不動産屋が「格付け」するには、
「坪単価を考えると土地は2億4000万円から3億円、建物を加えて計3億5000万円くらいで売れた可能性があります」
仮にこの売却益をそのままクエストのファンドに出資していたとなれば、今頃、GACKTがガク然としていることは想像にかたくない。
■「LUNA SEA」も登場!?
驚ガクのGACKT詐欺被害情報――。GACKTの所属事務所は、
「自宅の売却と本件は関係ありません」
としつつも、本人に確認した話として、
「親族が代表取締役をしていました会社(GACKTの著作権等を管理する個人事務所)にて資産運用目的で当該会社を信用し出資した事実はあるようです」
「(被害届が)受理されているようです」
「出資金回収の有無に関しましては無いと聞いております」
要は、クエストのファンドに出資したものの、その資金を回収できていない事実を認めたのだ。
さらに、都内在住の被害者のひとりが、こんな興味深い証言をする。
「13年の夏、クエストの松井の真っ赤なフェラーリに乗せてもらったことがあり、その時、彼はフェラーリ愛好家のつながりで、GACKTと『LUNA SEA』のボーカルの河村隆一と知り合ったと話していました。河村のことは『リュウイッちゃん』と呼んでいて、コンサートに招かれる仲だとも。GACKTのことは『ちょっと変わった人』と言っていましたね」
が、河村の事務所担当者は、
「ご指摘の出資をしたことも、松井直幸という人物と親交を持ったこともないと本人が否定しています」
と答えた。
「特集 113億円集金で逮捕された投資詐欺の芸能界人脈 『布袋寅泰』『江角マキコ』と自宅売却の一流芸能人『GACKT』の大損」より