カープ優勝 当てた評論家と最下位予想だった評論家

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 プロ野球12球団で、リーグ優勝から最も遠ざかっていたのが広島カープだった。それが遂に10日、巨人との直接対決を制して25年ぶり7度目のVを手中に。一体、誰がこの快挙を予想し得たのか。あわせて、最下位と評した専門家の“論拠”も聞いてみたところ……。

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25年ぶりのリーグ優勝

 長い四半世紀だった。途中、98年から15年連続Bクラスも味わった。それでも、開幕時からペナントレースを制するとみていた解説者はいた。まずはOBでもある小早川毅彦氏だ。

「2月の日南キャンプで、若い選手の意気込みを感じました。昨シーズンは最終戦を落としてクライマックスに進めませんでしたが、選手らは悔しさを忘れていなかった。1、2、3番を打つ田中、菊池、丸らが非常によかったので『今年はいけるのでは』と手応えを覚えたのです」

 交流戦の最中にも、ある“直感”があったという。

「6月3~5日のソフトバンク戦は、3連敗でもおかしくない内容でしたが、1勝1敗1分け。特に2試合目は、降雨のため5回終了引き分けで、この時は天が味方していると思いました。そして8月7日の巨人戦。4連敗中で当日も負けていたのですが、9回2死から菊池のソロ本塁打、そして新井のサヨナラツーベース。あれで優勝を確信しました」

 昨季と最も違う点は、

「“2つ先”を目指す走塁です。シングルヒットを打っても1塁で止まらず、隙あらば2塁まで走る意識。1塁ランナーも、次のヒットで3塁を目差しながら2塁へ走る。これがチームとしてできるようになったのが大きいですね」

 同じくOBの安仁屋宗八氏も、3月にVを予想。

「昨年の最終戦で負け投手になり、ベンチで号泣する大瀬良を前田健太が慰めていた。その前田がいなくなった分をカバーしようと、チームは一つになったのです。精神的支柱はやはり黒田と新井の2人ですが、コーチ陣もよかった。打撃担当の石井と東出はとにかくバットを振らせ、ベースコーチの玉木と河田も、よく全員を走らせました」

 お二方とも、身びいきを差し引いてなお十分な“根拠”があったというのだ。

■「市民球団」の良さ

 続いて“しんがり予想”を掲げていた方にもご登場願おう。98年に横浜を日本一に導いた権藤博氏である。

「中継ぎ、抑えが見当たらないと感じたのです。交流戦が終わって広島が抜け出しても、まだわからないと思っていました。優勝する時はそんなものですが、他球団は借金ばかりでだらしなかった。広島はひたむきさ、着々とコツコツやるスタイルをずっと出して戦った。それで他がもたついている間に勢いが出てきたのですね。シーズンを通して逆転勝ちが多いのも、勢いのなせる業でしょう」

 もう一人、低評価を下していたのが高木豊氏である。

「僕が最下位とした一番の理由は、マエケンが抜けたこと。また、他球団と比べて守備力、守備率が劣っていた。エラーが敗戦に直結するというデータが毎年出ていたので……。でも今季は飛躍的に守備が向上したし、外国人以外は前年の悔しさを覚えているメンバーばかりで臨んだのも、奏功したのでは。お金がなくて補強できない市民球団の良さが出ましたね」

 これも“解説”の妙か。

「ワイド特集 何者!! 何様!!」より

週刊新潮 2016年9月22日菊咲月増大号掲載

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