デート中の男女を暴行、強姦…「名古屋アベック殺人」無期懲役少年が語る“社会復帰”
1988年に起きた「名古屋アベック殺人事件」は、戦後の犯罪史に刻まれる残虐事件のひとつである。愛知県名古屋市緑区の大高緑地公園の駐車場で、デート中だった男性(当時19)と女性(同20)を暴行し、現金2万円を奪った上、女性を強姦。その後、ロープで数十分かけて2人を絞殺し、三重県内の山林に死体を遺棄――加害者は20歳から17歳までの6人の男女だった。
「新潮45」9月号に掲載の『「名古屋アベック殺人事件」無期懲役少年のいま』では、共同通信記者の佐藤大介氏が岡山刑務所を訪れ、主犯格の男に接触、その現状を取材している。
社会復帰という目標
裁判では、犯行に及んだ加害者に無期懲役や懲役13年、5年以上10年以下の不定期刑が下された。今回、佐藤氏の面会に応じた中川政和(仮名)は、一審で死刑判決が言い渡されるも、控訴審で無期懲役となっている。
佐藤氏と中川とは、約3年ぶりの対面となる。その姿について〈今夏48となるが、五分刈りで痩せた中川の姿はこの10年でほとんど変化がない〉と佐藤氏は綴る。※〈〉は本文より引用、以下同
〈噛みしめるように話す中川の姿を見ると、多くの人には純朴な人物として映るだろう(略)服役生活は、拘置所での収容期間を合わせると28年ほどになる。それらの日々が、中川に変化をもたらしたのだろうか〉
中川は“模範囚”として刑務所生活を送るというが、なぜ、絶望することなく日々を生きることができるのか。佐藤氏の問いに中川は、〈「社会復帰という目標があるからです」と、はっきりとした口調で答えた〉。そして昨年8月にくも膜下出血で入院していた、と明かす。
〈「それでも生きることができたのは、私にはまだやるべき使命が残されているからだと思い、感謝の気持ちでいっぱいです。命の重みを感じ、私が奪ってしまった命の重さや尊さをあらためて身をもって知りました」〉
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