リオ“夜のオリンピック”事情 30分1200円の五輪特別割引も

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嬌声の絶えない「ミモサ村」(※イメージ)

 激しく躍動する肉体、迸(ほとばし)る汗――。身体の限界に挑戦するのは、なにも競技場にいるアスリートだけではない。灼熱の陽が沈んだリオでは、街路に立つ数多の娼婦たちが主役となっていた。いくらテレビのチャンネルを変えても決して実況されることがなかった、夜のオリンピックの熱戦をお伝えしよう。

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 ここに1枚のビラがある。平和を象徴する五輪のシンボルマークの下には、〈オリンピックの選手たち!ミモサ村へようこそ〉と書かれ、〈オリンピック特別価格〉と銘打ったメニューが並んでいる。詳しく見ると、〈30分のSEX 75レアル→40レアル、1時間のSEX 90レアル→60レアル〉と、大幅にディスカウントされた料金が表示されているのだ。最も安価なメニューを日本円で換算すると、40レアルで約1200円だが、〈3Pの場合は30分で女性1人40レアル〉なんてオプションも……。ビラを配る女性は、路上なのに、下着同然の露わな格好で誘惑してくるのだった。

 つまり、冒頭のビラに書かれた「ミモサ村」は、リオで最も古い売春窟。ブラジル最大の赤線地帯が、開会式が行われたマラカナンスタジアムから僅か約1・6キロ、徒歩20分弱の場所にあるのだ。東京ドーム25個分の面積に相当する2500平方メートルのエリアに、3000人もの娼婦が客の奪い合いに火花を散らしている。

 夜の事情に詳しい日系企業の駐在員が解説する。

「ラテン系から白人黒人まで揃い、体型もスレンダーからぽっちゃり系まで選り取り見取り。ブラジルで売春は合法ですが、店舗を構えることは違法なので、この手の店はバーやクラブを装い、“性のスーパーマーケット”と呼ばれています」

■一晩で20万円

 五輪に合わせてセール合戦が繰り広げられていたというワケだが、赤線地帯はリオでも治安の悪いエリア。風呂のない店も多くて衛生状態も芳しくないのである。

 むろん「ミモサ村」の他にも夜の五輪会場はあるのでご安心あれ。日本と同様のラブホテルが次なるメインスタジアムだ。リオ市内には約180軒。ルネサンス様式を模したものから、畳や襖のある“和風”の部屋なんてのは序の口で、ジャグジーや室内プール、果てはポールダンスができる柱も備わっている。で、肝心の女の子の誘い方を先の駐在員が教えてくれた。

「業者が運営するティンダーという出会い系アプリでお好みの嬢を選べます。ブラジルのラブホは年間1億人の利用者がおり、1000億円規模の利益を生む一大産業。業者同士の競争も激しくて、女の子も金メダル級を揃えています」

 俗にいうコールガールだが、相場は部屋代込みで1時間2万円前後。赤線地帯よりも値は張るが、シャワーと鍵のついた部屋で一戦交えることが可能だ。

 現地特派員によれば、

「リオだけで性産業に従事する女性は約1万2000人。五輪特需を見込んで普段は登録しない若い学生から人妻までもが参戦しています。一晩で20万円稼ぐ人気者もいますが、ノルマは最低でも一晩1人。客が全くとれないと、業者に朝6時まで待機を命じられます」

 夜のメダリストへの道は、かくも険しいのだ。

「ワイド特集 やがて哀しき『リオ五輪』」より

週刊新潮 2016年8月25日秋風月増大号掲載

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