“スマホ片手”に沸く上野 「ポケモン」「ポール」影響で

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 桜満開の春ならいざ知らず、青葉生い茂り、太陽照りつける真夏の上野公園に、黒山の人だかりという現象が起きている。

 7月17日にル・コルビュジエ作の国立西洋美術館が世界文化遺産に登録されたことも大きな要因だが、今、彼の地に強力に人を引き付けているのは、ふたつの“P”の存在だという。

 まずはひとつめから。

「スマホゲーム『Pokémon GO』です。リリース直後から、他の場所では入手できないレアなポケモンが公園内に“生息”しているとの情報がネット上で広がり、プレイヤーが押しかけています。不忍池の南端から上野駅の公園口付近まで昼夜を問わず、スマホの画面とにらめっこする大勢の人々で埋め尽くされていますよ」(公園関係者)

 スマホ越しに眺めれば、モンスターもぎっしりという状態なのだ。暑苦しい限りだが、そこにもうひとつの“P”が追い打ちをかける。

美術館前にもポケモンが出現中

 文化部記者の話。

「7月27日から8月23日まで上野の森美術館で開かれている『ポール・スミス展 HELLO,MY NAME IS PAUL SMITH』が、連日活況を呈しています。これは、イギリスを代表する人気ファッションデザイナー、ポール・スミス本人がテーマの展覧会。彼のショップ1号店を再現したものや、彼が収集している絵画や小物などが所せましと展示されています。ブランドは日本の若者にも人気が高く、先立って京都で開かれた同展では7万人を超える動員となりました」

 寸暇を惜しんでレアキャラゲットを目指すポケモン派は美術展には目もくれないだろうが、

「実は会場内でも似たような光景が広がっています。というのも、今回の展覧会では全ての展示物が撮影フリー。入場者は皆スマホを片手に、撮影に勤しんでいます」(同)

 せめて美術展ぐらい、自分の目だけで楽しめばいいものを――。

週刊新潮 2016年8月11・18日夏季特大号掲載

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