増田寛也元総務相、知事選は敗北でも講演料は2倍に?

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 容赦なき西日敗戦投手かな(佐藤博美)。これとは逆に、負けても朝日を浴びる候補がいる。自公推薦の他ならぬ増田寛也元総務相(64)は、都知事選を通じて低かった知名度を高め、講演料の相場は2倍に跳ね上がると噂されているのだ。

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増田寛也元総務相(64)

 増田候補の財産面について、永田町関係者によると、

「彼の居宅は港区赤坂・45階建てマンションの35階にある。新築当時に約1億5000万円だったものが、今や2億円程に値上がり。他に預貯金や株を含め1億円近い財産を保有している」

 もっとも、彼は出馬に色気を見せ始めた際に、

「スカイツリーから飛び降りる覚悟がなければ」

 と慎重な姿勢を崩さなかった。出馬決断の折には東電の社外取締役ならびに野村総研の顧問を辞すことで報酬を失う、いわば後顧の憂いがあったからだ。有価証券報告書などを参照すると、合わせて年間およそ1500万円になる。とはいえ、都知事選を通じ、それを補って余りある果実を手に入れるというのだ。

 このことに触れる前に、投開票前の情勢を振り返っておく。各社の調査は押しなべて、「トップ小池を増田が追い上げ、差を詰めてはいるものの、最終的には及ばず」を仄めかしていた。なかには、ある党が行なった最新調査の結果として、増田候補が小池女史に1ポイント差で肉薄するという数字も出回ったが、随分と下駄をはかせたものだった。事実、

「大変な苦戦を強いられています」

 と、自民党のさる都連幹部が嘆息していた。

「理由は大きく2つある。その1が、小池さんが自民党の候補のひとりと見做されていること。その2が、外国人参政権に関して増田さんがイエス・ノーをはっきりさせていないこと。“都民の話を聞いて、慎重な方向で考えることが必要”と悠長に構えている。これじゃ保守のコア票は逃げる。ダダ漏れですよ」

■遊説回数が多いせいで

 その一方で、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は、

「増田さんは、民間団体『日本創成会議』の座長として、“少子高齢化が進んで、2040年ごろ、日本の896の自治体が『消滅可能性都市』となる。地方自治の仕組みを変えなければならない”と訴えてきました。まったくの正論なんです」

 と評し、今後も地方自治の分野で重要な政治的役割を果たすと読む。有力3候補の中で最も遊説回数が多かったのも、増田氏だった。

 そのことが、専門家としての増田評を高からしめるというわけだ。政治部デスクが後を受け、

「彼は地方自治を語ることについては第一人者。講演料は100万円を下らないレベルでしたが、選挙が良い宣伝になって引く手あまた。いきおい、講演料の相場も倍になる」

 最後に、選挙戦最終盤の光景を披露しておこう。聴衆約100人。まばらとは言えないまでも寂しい集まり具合の中野駅北口。応援演説に立った太田昭宏前国交相が、

「増田の『ま』は『まじめ』の『ま』。もう名前を知らない人はいないでしょう」

 としつつも、増田寛也増田寛也……と5回連呼したのだった。

 容赦なき連呼敗戦候補かな――。選挙に負けて勝つ。瓢箪から駒のような話だ。

「ワイド特集 都知事選挙の『重傷』『軽傷』『致命傷』 『週刊文春』淫行疑惑が封印を解いた『週刊新潮』13年前の『被害女性』証言記録」より

週刊新潮 2016年8月4日号掲載

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