なぜフランスでテロが頻発するのか 元宗主国の歴史

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“自由、平等、博愛”を祝う革命記念日に事件は起きた。

 14日、花火が上がり、観光客で賑わうフランス・ニースの海辺の遊歩道を、19トンの冷凍冷蔵トラックが2キロにわたって暴走。次々に人を撥ね、84人が死亡、202人が負傷したのだ。運転手は射殺、オランド大統領はすぐさま「テロとの戦いにフランスの決意が屈することはない」と発言したが、フランスでの大規模テロは昨年1月のシャルリー・エブド襲撃事件以来3回目だ。

花火見物客にトラックが突っ込み84人が死亡(写真・ゼータイメージ)

「元来、仏の治安維持能力は高い。非常事態宣言下、軍を動員しての警備体制でもこれは防ぎようがない」

 とは軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏。事件2日後に過激派組織〈イスラム国〉が犯行声明を出したが、チュニジア人移民の実行犯と組織との関連がいまだ謎の一方、犯人は精神疾患が疑われ、妻へのDVも報告されている。

歴代最低水準の支持率


「先月の米国フロリダの銃乱射事件に近いのでは。一匹狼型で、自殺志願者が他を巻き込むタイプです」(同)

 パリ在住のジャーナリスト、広岡裕児氏も言う。

「テロと言えばテロでしょうがフランスでは近年、こうした事件がまま見られる。社会的に疎外されているイスラム系移民やその2世、3世がテロの名の下に事件を起こすのです。昨年6月にグルノーブルで起きた上司斬首事件も犯人は当初、“テロ”と称していました」

 同じイスラム系と言っても、南アジア系が多いイギリスやトルコ系の多いドイツなどとは事情も異なる。なにより、フランスはイスラム国の盤踞(ばんきょ)するシリアの元宗主国。歴史の根は深い。

週刊新潮 2016年7月28日号掲載

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