英国の国民投票、やり直しの可能性は… 混乱続くEU離脱の疑問(5)

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イギリスのキャメロン前首相

「民意」はかくも移ろいやすい。

 70%超の投票率の下で決められた「EU離脱」。だが、再投票を求める署名が400万人以上集まり、デモが起きているのもまた事実。それに乗じ、現実にやり直しのシナリオを描く向きもある。

「イギリスでは、主権は下院にあるとされています」

 と述べるのは、ロンドン在住の国際ジャーナリストで『EU崩壊』の著者・木村正人氏である。

「国民投票にどんな拘束力があるのか、法的根拠がはっきりしません。そこで下院の判断で離脱の結果を覆せる、あるいは、もう一度投票の実施が出来るという声が出ています」

 英国には成文憲法がなく、これらが妥当かどうかは、もはや“解釈”によるしかないという。しかし、

「国民投票は下院が選出した首相が言い出し、投票実施のための法律も下院で可決した。つまり、理屈で言えば下院の持つ主権を国民投票に委ねたワケで、それが気に食わないからと言って、下院がひっくり返すのは民主主義国家として出来ないでしょう」(同)

 もう一つの案も挙がっていたが……。

「下院を解散し、国民投票のやり直しを争点にして総選挙を行い、その結果、新しい議会が再度国民投票を行う。もし再投票を行うならこれが最低限の筋です」(同)

 新首相のテリーザ・メイ女史(59)は就任前に“解散はしない”とし、「離脱は必ず行い成功させます」と名言。結局、英国は異論を抱えながら離脱へと向かわざるを得ない。つくづくも大きな代償を払わされたものだ。

「特集 まだまだ大混乱! 英国『EU離脱』7つの疑問」より

週刊新潮 2016年7月14日号掲載

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