“ブルータス、お前もか”も飛び出した 英国保守党の権力闘争 混乱続くEU離脱の疑問(3)

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ボリス・ジョンソン前ロンドン市長

 大本命失脚。党首選に5人が乱立――。名門「保守党」が揺れている。

「そもそも、次期党首の最有力候補は、離脱派を勝利に導いた、ジョンソン前ロンドン市長のはずでした」

 と言うのは、在英ジャーナリスト。

 しかし、そのご当人は6月30日、出馬断念に追い込まれたのは周知の通り。

「キャメロン党首を裏切って離脱派に回ったことから、党内で強い反発を招いていた。何より大きかったのは、離脱派の中核として国民投票を共に戦った盟友・ゴーブ司法相が彼を支えず、自らの党首選立候補を表明したことです。これで勝ち目はなくなりました」

 裏切る者は裏切られる。それを地で行く展開だが、これに噛み付いたのがジョンソン氏の父。BBCのラジオ番組で、「ブルータス、お前もか」と、シェイクスピアの名台詞を持ち出し、ゴーブ氏を非難したのである。

「実はゴーブはジョンソンとの間で、彼が首相になった暁には財務相にしてもらう、との密約を結んでいた」

 とは全国紙のロンドン特派員である。

「しかし、後になってジョンソンが同じポストを別の有力者にも約束していたことが露見した。これに激怒して袂を分かったのです」

 しかし、そのゴーブ氏とて、国民投票、党首選と2度続けて同志を裏切っていることには変わりない。党内で支持が得られるワケもなく、テリーザ・メイ女史が新首相に選ばれた。

 密約に裏切り、醜い内紛。もしシェイクスピアが生きていたら、これをどんな「喜劇」、いや「悲劇」に仕立て上げていただろうか。

「特集 まだまだ大混乱! 英国『EU離脱』7つの疑問」より

週刊新潮 2016年7月14日号掲載

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