日産の英工場でリストラの可能性…年間50万台を生産 英国EU離脱20の疑問(11)

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年間50万台を生産する「日産自動車」工場はどうなる?

「EU離脱」を不安な面持ちで注視しているのが日産自動車だ。同社はサッチャー政権時代に、イギリス側の強い要望で進出。北東部にある中堅都市・サンダーランドに同国最大の生産工場がある。

「日産のサンダーランド工場では約8000人が働き、年間約50万台を生産しています。主な車種は『キャッシュカイ』というSUV。地元密着がもっとも成功したケースで“日産は英国の企業”とテレビで紹介されるほど受け入れられています。生産した車の約8割は輸出用で主な輸出先はEU。国民投票の前にはキャメロン首相も日産などの名前をあげて“海外企業がイギリスに投資するのは、5億人の単一市場であるEUの一部だからだ”と訴えていました」(ロンドン特派員)

 ところが、離脱で何が起きるのか。EUに域外の国から自動車を輸出すると約10%の関税がかかる。これまで、無税でEUに輸出してきた日産にとってただならぬ事態だ。

 同社の幹部によると、

「うちはヨーロッパの生産拠点としてスペインなどがあります。また、親会社のルノーとアライアンスを組んでいて、いざとなれば自動車の生産をそちらに移すことも出来る。しかし、自動車工場には巨額の投資をしているし、生産を移すにしてもリストラをしなくてはいけません……」

 勿怪(もっけ)の幸いというべきか、国民投票の結果、英ポンドは10%近く急落。

「このままの水準なら、関税をかけられても、輸出はあまり落ち込まずに済むはずです」(同)

 と皮算用しているのだが。

「特集 ヘイトと衆愚が理性にまさった? 地球的大混乱で誰が笑うか? まさかの英国『EU離脱』20の疑問」より

週刊新潮 2016年7月7日号掲載

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