スコットランドの独立論再燃に、スペインが難色を示すワケ 英国EU離脱20の疑問(9)

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スコットランドと北アイルランドの独立論は再燃か?

 離脱の“連鎖”は、連合王国に崩壊をもたらすのか。

 第一の懸念はスコットランドにある。

EU崩壊』の著者でロンドン在住の国際ジャーナリスト・木村正人氏によれば、

「スコットランドは今後、ニコラ・スタージョン首相を中心に独立に向けて動き出します。独立を問う2014年の住民投票で残留派が辛勝した際は“英国から独立したらEUに残れないかもしれない”という民衆の危機感が影響しました。しかし、その英国がEUから離脱する以上、スコットランドとしても独立への大義名分が立つことになる」

“スコットランドの女王”と呼ばれるスタージョン首相は、再度の住民投票に向けて準備を進めることを示唆している。それを後押しするかのように、英国のEU離脱が決まった直後の世論調査では、59%の住民がイギリスからの独立を支持したという。福井県立大学の島田洋一教授(国際政治学)は、

「この動きに難色を示しているのがスペインです。仮にスコットランドが独立してEUに残留すれば、同じように独立を求めているカタルーニャの前例になりかねない。スペインが過敏に反応したのは、それだけスコットランドの独立が現実味を帯びているということ」

 次なる問題は、血で血を洗う抗争が繰り広げられてきた北アイルランドだ。

「EU加盟によって事実上、南北の国境がなくなったわけですが、英国がEUを抜けるとなれば話は別です。北アイルランドのカトリック住民がアイルランドとの併合を求めても不思議ではありません」(木村氏)

“離脱”の衝撃は、英国の地下深く眠っていた活断層をも揺さぶり起こした。

「特集 ヘイトと衆愚が理性にまさった? 地球的大混乱で誰が笑うか? まさかの英国『EU離脱』20の疑問」より

週刊新潮 2016年7月7日号掲載

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