リオ五輪内定「桐生」「山縣」「ケンブリッジ」期待できるのは誰?

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 リオ五輪への切符をかけた韋駄天対決。“勝負弱い”桐生祥秀(20)と実力はあっても“運がない”山縣亮太(24)を相手に、ジャマイカ人を父親に持つケンブリッジ飛鳥(23)が勝負を制した。とはいえ、夢の9秒台には誰も届かず、またしても期待は裏切られる結果となった。

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桐生祥秀(20)

 記念すべき、第100回を迎えた日本陸上競技選手権。男子100メートルの決勝は、6月25日午後8時半過ぎに行われた。

 会場のパロマ瑞穂スタジアム(名古屋市)は、約2万3500人が詰めかけ、ほぼ満員状態。選手がスタートラインにつくと、一瞬にして静寂が広がる。スタートの号砲は、雨脚が強まるなかで鳴り響いた。

 男子100メートルの元日本記録保持者で、「TEAM不破」代表理事の不破弘樹氏が解説する。

「まず、桐生の場合、山縣、ケンブリッジとの勝負に加え、9秒台を出すことへの期待を背負っていました。ただ、桐生は記録を意識し過ぎると力んで、いつもの走りができなくなってしまう。普段は切れ味鋭いシャープな走りをするのに、決勝戦はガチガチで精彩を欠きました。だから、10秒31というパッとしない数字で、3位に沈んでしまったのです」

 では、山縣はどうだったのか。

「しっかりと自分の走りができていた。山縣は、トップスピードに素早く持っていき、後半までキープして逃げ切るというのが持ち味です。決勝戦でも、その勝ちパターンに持ち込めていました」(同)

 しかし、ゴール直前、ケンブリッジにわずか0・01秒の差でかわされ、10秒17の2位に甘んじることに。

「ケンブリッジは序盤こそ、2人に遅れをとったものの、70メートルを過ぎてから素晴らしいスプリントを見せました。ハーフならではの大きな腕の振りや、スムーズに伸びるストライドが爆発的な加速力をもたらしています」(同)

■経験の差

 この3人の韋駄天が、リオ五輪に出場することになったわけだが、活躍を期待できるのは誰か。

 スポーツライターの酒井政人氏によれば、

「4年前のロンドン五輪で、10秒07の日本人五輪最高記録を出している山縣はキャリアもあり、有望ではないでしょうか。ケンブリッジは本格的に100メートルに取り組むようになったのが大学3年生からで、経験が浅い。桐生は、勝負強さという面でいま一つ、不安を抱えています」

 晴れ舞台で脚光を浴びるのは、これまでは運のなかった選手ということなのか。

「ワイド特集 雨中の決戦」より

週刊新潮 2016年7月7日号掲載

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