ポンド暴落でバーバリー、スコッチは値下げする? 英国EU離脱20の疑問(5)

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日本でもファンの多いスコッチウィスキーはどうか

 予想外の“結果”に顔色を失ったのは、市場関係者も同じだった。“離脱決定”後の東京市場では一時、3年半ぶりのポンド安・円高水準に突入している。

 もちろん、ポンド暴落の恩恵を期待して、舌なめずりする向きもあるだろうが、残念ながら、そうは問屋が卸さないようだ。

 ファッション評論家の堀江瑠璃子氏によれば、

「どのブランドも今年の秋冬物は発注済みで、ポンド安になる前にコストも価格も固定されているため、シーズン途中で値段を変えることは難しい。値下げするとしても、来年の秋以降になると思います」

 また、離脱によって“関税”が復活する可能性は高い。英国を代表するブランド・バーバリーの場合、商品の製造拠点がEU各地に点在しているため、関税が上乗せされれば“値上げ”の危険すらあるという。

 他方、日本でもファンの多いスコッチウィスキーはどうか。ウィスキー評論家の土屋守氏からは、

「ポンド安が続けば、短期的には1割ほど価格が安くなるかもしれません。また、EUが英国に関税をかければ、これまで日本に輸出されてこなかった銘柄が振り分けられる可能性もある」

 と嬉しい言葉が返ってきた。しかし、油断は禁物。

「スコッチの原料であるモルトなどの穀物は、いまや7割が国外産です。しかも、フランスなどのEU諸国からも輸入している。関税によって生産コストが嵩めば価格に転嫁されるので、ポンド安の恩恵も相殺されてしまいます」(同)

 日本からも“離脱”に怨嗟の声が漏れそうだ。

「特集 ヘイトと衆愚が理性にまさった? 地球的大混乱で誰が笑うか? まさかの英国『EU離脱』20の疑問」より

週刊新潮 2016年7月7日号掲載

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