阪神・金本監督の采配ミスを、虎番記者が批判できないワケ

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 9回裏同点の二死満塁、打球は左中間に高々と上がった。センターでもレフトでも楽々捕球できる凡フライだ。誰もが延長戦突入だと思ったその瞬間……二人の外野手が激突。白球は芝にポトリと落ちた――。

 6月26日、マツダスタジアムで行われた対広島戦は、阪神・金本監督にとって悪夢のような幕切れだった。

 その結果、首位をひた走る広島に10・5ゲーム差つけられただけでなく、最下位ヤクルトと僅か0・5ゲーム差という苦境に陥った。

「日曜日だけ見ると、これで7連敗。まるで“呪い”に囚われたかのようです」

 と在阪スポーツ紙デスク。

 14日の阪急阪神ホールディングス株主総会では株主から「タイガースが“超変革”していて素晴らしい。今年は若手を使うなどようやってる」と絶賛された金本監督。この日も、激突した一人は中谷将大(23)という若手だった。“若手登用”と言えば聞こえはいいが、土壇場で“経験不足”を使った采配ミスとも言える。

「でも、監督を批判する論調は見当たりませんね。他にも、疑問符が付く采配は散見されるのですが……」

 たとえば、開幕早々に抑えの新外国人・マテオを3イニング起用して調子を崩させたり、最近では不振とはいえ主砲・ゴメスに代打を送ったり……。

「タイトル実績がある、それもコミュニケーションが大切な外国人選手に対しては、プライドを傷つける試合途中での交代はご法度。使わないのなら試合前にきちんと話し合い、スタメンから外すのがセオリーです」

 ところが、そんな批判こそが虎番記者にとっては“ご法度”なんだそうだ。

「監督は現役時代、マスコミ不信に陥り数年間取材を拒否し続けたことがあるんです。売れるネタが“金本”しかない今、また臍(へそ)を曲げられてはたまらないというわけで、我々は批判ができない。批判がないから反省もない。完全な悪循環です」

 かくして呪縛は続く。

週刊新潮 2016年7月7日号掲載

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