ニッポン大好き!座談会 英・米・仏の若者が見た日本……「やっかいなのは“ギタイゴ”」
現在発売中の「新潮45」7月号にて、日本在住のイギリス・アメリカ・フランス出身の若者たちの座談会が掲載されている。「『ぷにぷに』『モチモチ』なんて言うのは日本人だけ」と題されたこの企画では、日本に暮らす我々にはない視点から見た“ニッポン”が語られている。
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今回の座談会に参加したのは、埼玉の高校で英語を教えているアメリカ出身のサラさん(23・女性)、来日して8年になる「日本のオタク文化全般が好き」な、フランス出身エンジニアのアーノさん(28・男性)、東京のドキュメンタリー制作会社でプロデューサーとして働く、イギリス出身のフィービーさん(27・女性)だ。
座談会はすべて日本語で行われたが、〈ひらがなとカタカナと漢字があってなんてややこしい言語だ、と思いませんか〉と、司会者が尋ねるように、言葉の上での不便はなかったのだろうか。※〈〉は本文より引用、以下同
〈【アーノ】 それは案外慣れてしまえば平気です。(略)知らない単語に出会ったらすぐスマホで調べるようにしています。それよりもやっかいなのは「擬態語」。
【サラ】 ギタイゴ? なにそれ?
【アーノ】 「ふわふわのクッション」とか「モチモチしたパン」とかそういう2回繰り返して状態を伝えることば。辞書を読んでもフランス人には何がふわふわか、モチモチか、感覚的につかむことがなかなかできないんです。
【サラ】 あ~、ぷにぷにのほっぺ、とかそういうやつね。確かに難しいし、無限にありますよね。でも面白~い。日本人の繊細な感覚が表れていますよね〉
てっきり「てにをは」などに言葉の壁を感じているかと思いきや、“擬態語”という答えには驚かされる。たしかに、なぜ“ふわふわ”というのかと聞かれれば、説明するのは難しい……。
■アナログな日本
3人とも、日本での暮らしについては〈住みやすい!〉と声を揃える。外国人であることを理由に差別されたことは?との問いかけに、アーノさんは“全くないというワケではないが、日本は島国だから欧米人に慣れていないんだと思います”と分析する。
〈【フィービー】 私がお箸を使いこなすたびに大げさに驚くのは勘弁してほしいですけど(笑)。
【アーノ】 差別を受けることより、親切にされることのほうが多いですね。仕事をしていても友達づきあいをしていても、まず相手の立場を尊重する日本人の精神性には驚かされます(略)相手の立場をまず受け止めてからどう行動するか考える日本人には感心するし、多分そのお陰で日本に住むのは快適なんだと思います。
【サラ】 私もアメリカ人は自己主張が強すぎて、時々うるさいなあと思ってたので日本人とのコミュニケーションは快適です〉
治安や清潔なトイレ、缶チューハイの魅力など、日本の良さについての話は尽きない。では反対に、日本のマイナス点はどこにあると感じているのだろうか。
フィービーさんは〈一番のストレスはクレジットカードが使えないところが多すぎること〉と答えたが、こうした日本の“アナログ”な点にはアーノさんも、
〈口座を作るのにいちいち印鑑を作らなければいけないのもアナログで面倒だなと思いました。外国人の友だちの一人は、カタカナにするとすごく長い名前の印鑑を無理やりつくったので、文字がつぶれて読めなくなってましたよ〉
と同意の様子。また、ミネソタで暮らした経験のあるサラさんは、〈温度管理のシステムが遅れていてびっくりしました〉と、日本の住宅の保温・保冷性について指摘している。
とはいえ、〈そのアナログさや四季の移り変わりも含めて、日本の良いところだなと感じることも多いです〉(フィービーさん)。外国からの観光客も増える昨今、こうした“外”からの視線は、気付かなかったニッポンを教えてくれるものかもしれない。