M・ジャガーは離脱、ベッカムは残留…有名人たちの選択 英国EU離脱20の疑問(4)

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ポール・マッカートニー

 国家の一大事に際して、アーティストが政治的な立場を鮮明にするのは、いかにもイギリスらしい。

 まずはローリング・ストーンズのミック・ジャガー。テレビ局のインタビューに、

「離脱は短期的には有害だろう。でも、20年くらいの長い目で見たら有益な結果になるかもしれない」

 と答えたことで、離脱派の大御所に祭り上げられた。

 一方、ポール・マッカートニーは仏紙の取材に対し、

「イギリスはいま大変だよ、アッチについたり、コッチについたりでね。僕もそう、まだ決めていない。最後には最良の結論が出るさ」

 この煮え切らない態度は英国内で“レット・イット・ビー(なるがままに)”と皮肉られたという。

 そんなロックスターを尻目に、離脱を「狂気」と断じたのは、映画「ハリー・ポッター」シリーズに出演した女優のエマ・トンプソンだ。同作の原作者であるJ・K・ローリングは、

「離脱キャンペーンは人種差別主義者と頑固者が指示している」

 とさらに手厳しい。

 また、サッカー界ではデヴィッド・ベッカムが、

「欧州はチーム。成功に向けて共に行動すべき」

 と残留を支持すれば、元イングランド代表キャプテンのソル・キャンベルは、

「欧州から選手が押し寄せ、若いイギリス人選手が追いやられている。離脱で英国サッカーは活性化する」

 と反論。結果、離脱派が勝利するや、ローリング女史はこう漏らした。

「いまほど魔法がほしいと思ったことはない」

 事実は小説より奇なり、いや狂気なり、である。

「特集 ヘイトと衆愚が理性にまさった? 地球的大混乱で誰が笑うか? まさかの英国『EU離脱』20の疑問」より

週刊新潮 2016年7月7日号掲載

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