英首相の友でも“離脱派”ロンドン前市長って何者? 英国EU離脱20の疑問(2)

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ボリス・ジョンソン前ロンドン市長(52)

「とにかく締め付け過ぎる。その一方で別の部分が危険なほどユルユルだ!」

 ボサボサの金髪にずんぐり体型。EUをパンツにたとえて聴衆の笑いを取ることも朝飯前である。国民投票で「EU離脱派」に回り、キャメロン首相を打ち負かしたボリス・ジョンソン前ロンドン市長(52)はキャメロン氏と旧知の仲である。

「ジョンソン氏は名門・イートン校からオックスフォード大学卒業と、典型的なエリートです。キャメロン氏より2歳年上ですが、イートン時代に知り合い、大学も同じ。しかし、その後の人生は対照的です。キャメロン氏が保守党の調査部で地道に党務をこなしていたのに対し、ジョンソン氏はマスコミで活躍し、テレビでも脚光を浴びた。一時、キャメロン氏と並んで保守党の党首候補でしたが不倫騒動で失脚。しかし、首相になったキャメロン氏の後押しでロンドン市長選(08年)に出馬するのです」(全国紙のロンドン特派員)

 そのお蔭もあって市長に当選したジョンソン氏は市民が喜ぶ政策を次々に打ち出す。ロンドン在住ジャーナリストの鈴木雅子氏によると、

「ボリスは人の心を掴むのがうまかった。高齢者は交通機関が無料になる“フリーダムパス”の改正のほかレンタサイクル制度を導入し、今でも“ボリス・バイク”と呼ばれています。離脱派に回ったのは、いまが首相を目指すチャンスで、キャメロンと同じことを言っていてはダメだと思ったからでしょう」

 政治的野心の前に友情は紙っぺらほどの厚さもない。次期英首相の筆頭候補とされていたジョンソン氏だったが、保守党の党首選への出馬見送りを6月30日に発表した。

「特集 ヘイトと衆愚が理性にまさった? 地球的大混乱で誰が笑うか? まさかの英国『EU離脱』20の疑問」より

週刊新潮 2016年7月7日号掲載

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