参院選出馬の今井絵理子、基地問題への言及を避ける「沖縄で話すよ~」

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 沖縄で米海兵隊の撤退などを求める6万人規模の集会が行われていた、まさにその時、1500キロ余り離れた横浜市内の居酒屋で集会を行った自民党の今井絵理子候補(32)。那覇の芸能人養成学校から歌手グループ「SPEED」を経て、国政に進出しようとしている彼女にとって、本来「基地問題」は避けて通れないテーマのはず。しかし――。

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「皆さん、こんにちは! いやぁ、凄い人数で、若い世代がこうやって集まってくれることが、何より嬉しいです!」

 6月19日午後3時。自民党の横浜市議が主催する集会に、赤いブラウスに黒のパンツ姿の今井候補が登場した。出馬会見から4カ月、茶髪はすっかり黒くなり、化粧も薄く、控え目な印象である。

自民党の今井絵理子候補(32)

 会場となった上大岡駅近くの居酒屋は、150名もの来場者で寿司詰め状態。子連れのお母さんや若い男女に並んで、取材で訪れたタレントの春香クリスティーンが、熱心にメモを取っていた。

 皆が注目する中、今井候補が語り始めたのは、聴覚障害をもって生まれた一人息子・来夢(らいむ)君(11)の話。

「2人で聾学校、特別支援学校、児童養護施設などを回ってきました。(中略)当事者として社会を変えていくことができないかと思うようになりました」

「政治は希望です。諦めちゃいけません。希望を形にすることが、政治家の役目だと思っています」

 マイクを握ること10分弱、あれよあれよという間に、「決意表明」は終了したのであった。

 が、ちょっと待てよ。何かお忘れではないか。

 奇しくも、その頃、那覇市内で行われていた抗議集会では、米海兵隊の撤退や日米地位協定の改定、普天間基地の閉鎖・撤去を求める決議が採択されていた。

■「沖縄で話すよ~」

 もっとも今井候補からは、「米軍」や「基地」はおろか「沖縄」の「お」の字も出なかったのである。その後、上大岡駅前で行われた街頭演説も同様で、最後まで「沖縄」の2文字が語られることはなかった。

 これには来場者も釈然としなかったようで、彼女の帰りがけに、こう声をかけた男性がいた。

「絵理ちゃん、基地問題について話してよ」

 すると今井候補は、

「沖縄で話すよ~」

 と、軽く一蹴。

 今井事務所によれば、

「この日の夜、事務所の方に、何件か電話がありました。(今井候補は)福祉の話をしているけれど、沖縄の問題はどうするのか、と。でも、祖父母から戦争の悲惨さについて聞いて育った彼女は、戦争を起こさないようにしないといけない一方、そのためには備えが必要だということを、別のところで話していますよ」

 政治部記者が言う。

「今井さんは、5月23日に行った東京・八重洲の事務所開きの際、事件の被害者に哀悼の意を示しました。けれど、この日の抗議集会は、翁長雄志知事を支える共産、社民などの革新派が主催したもの。自公が参加を取り止めた手前、沈黙した方がいいという計算が働いたのでしょう」

 来る6月26日には、那覇市内を遊説するという。ぽっと出のタレント候補が語るには、沖縄の基地問題は、あまりに重く難しいテーマである。

「特集 『参院選』女たちの開戦通告」より

週刊新潮 2016年6月30日号掲載

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