舛添元都知事が会ったという出版社社長の正体は……

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 言い逃れのウソというのが衆目の一致するところだったが、まさか実在するのか。舛添元都知事が、2013年、14年の正月に「龍宮城ホテル三日月」(千葉県木更津市)の部屋に招き入れたと主張する出版社社長のことである。確かに、近しい関係にあり、条件に合致する人物が浮上したのだが……。

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舛添要一元都知事

 6月13日に行われた、都議会総務委員会の集中審議でも、舛添氏はその氏名の公表を頑なに拒み続けた。

 当初、「龍宮城ホテル三日月」への宿泊が、単なる家族旅行ではない言い訳として、“事務所関係者ら”と政治活動の会議も行っていたと釈明。ところが、佐々木善三弁護士らの第三者による調査発表の場で、“新聞記者出身の出版社社長”へと変わり、依然として正体は不明のままだ。

 挙げ句、憶測が憶測を呼び、疑いの目が向けられる出版社社長が相次いでいるわけだが、実は、有力視される人物が1人いるという。

 メディア関係者が明かす。

「それは、トレンドシェアという出版社の社長だった芹澤邦雄さんです。もともと、『ホースニュース・馬』という競馬専門紙の記者で、その後、サンケイスポーツに移り、週刊ギャロップが1993年に創刊されると、初代編集長に抜擢された。当時、国際政治学者として活躍していた舛添さんはJRAの馬主にもなるほどの競馬好き。週刊ギャロップに連載コラムを持ち、芹澤さんとは接点があった。その後、芹澤さんは編集局次長を最後に退社し、2003年、トレンドシェアを立ち上げたのです」

■女性社長

 2人の関係は、舛添氏が政治家に転身してからも続いていたと見られる。

 今回、政治資金の私的流用が疑われたケースの1つに、資金管理団体「グローバルネットワーク研究会」が2011年9月、東京・赤坂の喫茶店に支払った飲食代1万8000円がある。テーブル数が10脚程度の小規模な喫茶店にしては金額が不自然に大きいうえ、店主もメディアの取材に、“その領収書は切った覚えがない”と証言したからだ。

 都庁詰め記者が解説する。

「都議会で、野党議員からその疑惑を追及された舛添さんは、“報道は事実に反する”と反論した。喫茶店の近くの会議室で、その日の朝、政治資金パーティの勉強会を開催し、出席者二十数名分の朝食を用意したと。1万8000円は、そのための卵サンドを購入した代金だと主張しました」

 確かに、「第一回ますぞえ政治経済塾『混迷政局を斬る!』」なる勉強会が開かれていたことは間違いない。

 ただ、問題は、その場所。芹澤氏が当時社長を務めていたトレンドシェアの会議室だったのである。

 前出のメディア関係者が続ける。

「実は、トレンドシェアにはオーナーがいて、同じ赤坂のビルに入居する翻訳会社の女性社長です。彼女は舛添さんと30年来の付き合いだと公言し、かつては、政治団体『改革国際フォーラム』の会計責任者も務めていた。さらに、4年前の総選挙後、舛添さんと新党改革のスタッフらが彼女の会社で打ち上げを行うくらい、親しい関係にあるのです」

 一方、芹澤氏はどうしているかというと、

「昨年11月に、クモ膜下出血のため、70歳で急死してしまいました。青山葬儀所で営まれたお別れ会には、舛添さんも参列していた。ただ、芹澤さんはあくまでも競馬界の人間で、わざわざ正月に舛添さんを訪ねて、政治活動の会議をするような間柄ではない。芹澤さん自身、あまり政治に関心を持っていませんでした。でも、“死人に口なし”で、確認のしようがないのです」

 もしかすると、舛添氏の釈明には、なにかカラクリが隠されているのか。

 女性社長に聞いたものの、

「誰がホテルを訪ねたのか、本当にわかりません」

 舛添氏が氏名を明かしさえすれば、すべての疑問は解消するのである。

「特集 今や都民1300万人の心が一つに! 白々しい言い訳はもう聞き飽きた! さよなら『舛添要一』都知事」より

週刊新潮 2016年6月23日号掲載

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