なぜ田中貴金属が? ジカ熱検査薬の開発に世界初成功

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 自転車の米国代表候補のなかには、早々に辞退を表明した選手もいるし、日本勢では、ゴルフの松山英樹も「気になります」と不安な心境を口にする。

 リオ五輪を目前に控え、対策が注目される「ジカ熱」。その原因となるウイルスを検出する試薬の開発に、なぜか、金地金やジュエリー、純金積み立てなどで有名な「田中貴金属」が世界初成功した。思わぬところに伏兵である。

 親会社・TANAKAホールディングスによれば、金の粒子をナノレベルに加工し、溶液中に分散させた「金ナノコロイド」を使う、「イムノクロマト法」。

 広報担当者が解説する。

「従来、血液中のジカウイルスを検出するには、遺伝子増幅法と呼ばれる方法を使っていました。これには特別な設備が必要なうえ、検出には早くて半日かかりました」

 大勢の人を検査するのは現実的ではないし、費用もバカにならない。ところが、今回開発された検査キットを使えば、10~15分、早ければ2分ほどで診断が可能になるという。

 実際の検査法は手軽だ。血液2~3滴を採取し、キット内の血清に入れた後、スポイトで試薬シートに滴らす。すると、妊娠診断キットのように線が現れ……。

「当社ではこれまでにも、金ナノコロイドを使ったインフルエンザのキットや妊娠診断キットを開発しており、今回も、それらの技術を発展させました。昨年騒動になったため、開発に動きだし、完成することができました」(同)

 もっとも、市場に出るには、医療メーカー探しや臨床試験を受ける必要もあるため、五輪に間に合うことはない。とはいえ、金鉱脈を大発見!? 蛇足ながら、株を買って一儲けと思ったところでTANAKAホールディングスは非上場ですので悪しからず。

週刊新潮 2016年6月23日号掲載

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