「舛添さんが相応しいとは思ってなかった」と安倍首相…永田町での評判

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安倍晋三総理

 来る東京五輪の旗印にもなっている「多様性」。文字通り価値観が千差万別に多様化しているなか、お互いの立場を尊重し合おうというのだ。逆に言えば、現代においてスタンスを異(こと)にする人々を一致団結させるのは至難の業であることを物語っているわけだが、そんな「荒業」をやってのけたのが舛添氏である。

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 都民は「さらば舛添」で一つに結集した。しかし、尋常ならざる精神力の持ち主である舛添氏は、吉田松陰が好んだ孟子の「千万人といえども吾(われ)ゆかん」の精神で土俵際に踏みとどまり続けた。が、「敵」は千万人どころではなかった――。

「僕としては、舛添さんが都知事に相応(ふさわ)しいとは、本当のところ思っていなかったんだよね」

 6月6日夜、東京・赤坂。都庁から4キロしか離れていない中国料理店で、新聞・テレビなどの官邸キャップたち相手に完全オフレコ懇談に臨んだ安倍晋三総理はこう「持論」を展開した。

 政治部記者が解説する。

「舛添さんは第1次安倍政権で、参院自民党の政審会長や厚労相に抜擢してもらった。ところが、安倍さんがレームダック化すると、昂然と『安倍降ろし』の声を上げました。加えて、そもそも舛添さんは、安倍さんの出身派閥である清和会と鎬(しのぎ)を削ってきた平成研のドン・青木幹雄さん(元官房長官)に目を掛けられていたこともあって、安倍さんは彼を好ましく思っていなかった。その本音が今回の懇談で出たんですよ」

 なお、先の「千万人」のフレーズは安倍総理もよく使っている。千万人の敵を恐れないと公言し、目下、「一強権力者」となっている安倍総理を、舛添氏は敵に回してしまったわけだ。

■迷言「ただ今、瞑想中」

菅義偉官房長官と谷垣禎一幹事長

 また自民党の谷垣禎一幹事長も5月17日の時点で、

「猛省が必要だ」

 と、舛添氏を突き放している。その背景には、

「舛添さんが新党改革を作った2010年、総裁だった谷垣さんは何とか自民党離党を踏みとどまらせようと自ら舛添事務所に連絡を入れた。すると、電話に出た秘書は『舛添はただ今、瞑想中なので会えません』と対応。これにはさすがの谷垣さんも、『自民党が一番辛い時(注・当時、同党は野党に転落していた)に出ていくなんて許せない。私に会いにも来ない。こんな卑怯な人間はいない』と、激怒していました」(政治部デスク)

 このように、舛添氏は自民党の総裁、幹事長というナンバー1、2に憎悪され、1300万の都民だけでなく、あらゆる方面で不評を買っている感が否めない。一方で、

「菅さん(義偉・官房長官)は、舛添問題に関して『沈黙を保つ』ことで彼を擁護しています。舛添さんの都知事擁立を主導したのは菅さんですし、橋下さん(徹・前大阪市長)と近しいことからも分かるように、彼は時の人気者に擦り寄るカメレオン的な一面があって、かつて総理にしたい人ナンバー1だった舛添さんを自民党総裁に担ごうと画策したこともある。そうした関係から、今でも自民党議員が『舛添、もたないよな』などと話し合っていても、菅さんはダンマリを決め込んでいます」(官邸関係者)

 とはいえ、その菅氏でさえ、現下の状況ではさすがに表立って舛添氏を支援するわけにはいかなかった。

 都民に総スカンを食らったばかりか、日本国中で敵に包囲された舛添氏。さしもの強心臓の持ち主も、1億3000万人といえども吾ゆかん、とは……。

「特集 今や都民1300万人の心が一つに! 白々しい言い訳はもう聞き飽きた! さよなら『舛添要一』都知事」より

週刊新潮 2016年6月23日号掲載

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