ロッテを巡るお家騒動…社を出入禁止にされた兄が、弟の嘘を語る

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“お口の恋人”でおなじみ株式会社ロッテを傘下に置くロッテホールディングスが、お家騒動に揺れている。現在発売中の「新潮45」6月号にて、社を追われた元副会長の重光宏之(韓国名:シン・ドンジュ)氏が、その真相について語った。聞き手は共同通信記者の佐藤大介氏である。

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 1948年に設立のロッテは、韓国出身の創業者・重光武雄(韓国名:シン・キョクホ)氏によって一代で巨大なグループ企業へと成長を遂げた。今回インタビューに答えた長男の宏之氏が日本法人を、次男の重光昭夫(韓国名:シン・ドンビン)氏が韓国法人の経営を担ってきた。

 ところが昨年1月、宏之氏は突如として役職を解任される。グループ全体を統括していた父・武雄氏も経営の一線から外され、弟の昭夫氏が社を取り仕切る体制に。これを不当とした宏之氏は経営復帰や損害賠償などを求めて裁判を起こし、昭夫氏サイドと対立した状態にある。

■“虚偽報告”

 宏之氏の解任理由は“独断で進めた事業で損失を出したため”とされているが、本人はこれを明確に否定する。発端は、ロッテホールディングス社長・佃孝之氏の発案による予算1億円の新規事業公募に、宏之氏の部下が採用されたことだった。

〈ただ、その事業にかかる予算は1億円では足りず、見積もりで4億円くらいになってしまったんですね。それで、佃氏が議長を務める取締役会でも承認してもらって進めました。結果的に、その事業は8億円の予算となりましたが、その支出についても会社の決裁を経てなされています。しかし、それを昭夫と結んだ佃氏が、私が無断で事業を進め、周囲が止めたにもかかわらず暴走したと、さらに、投資資金を友人に騙し取られたなどと会長に報告してしまったのです〉※〈〉は文中から引用した宏之氏の発言、以下同

 この“虚偽報告”を信じた父・武雄氏によって、宏之氏の解任はなされた。ソウルに滞在していた父・武雄氏への報告ルートが佃氏に独占されていたことも災いし、事実を説明するのに半年を要したという。

〈あとから知ったのですが、実はこの時、昭夫は、中国で相当大きな損失を出していました。どれだけ損が出ているかわからないほどでした。会長は、経営の怠慢による損失とか不正に対して非常に厳しい。そのため、昭夫は自分がクビになると思ったのでしょう。会長にその事実を話すであろう私を外さないと、自分の立場が危ういと思ったわけです〉

〈そうした中、大きな損失を出した昭夫と、経営能力のなさが露呈してきた佃氏が急接近してしまった(略)私を解任することで利害が一致し、私が周囲の制止も聞かずに暴走したと会長に虚偽の報告をするに至ったのです〉

 真相を知った父・武雄氏は昭夫氏や佃氏らの辞任を迫るも、現経営陣たちは武雄氏の代表権を剥奪し、“名誉会長”職へと追いやってしまう。さらに昨年12月、93歳の武雄氏の判断能力に問題があるとして、武雄氏の実妹が成年後見人を申請。今も鑑定が行われているが、これが認められれば、意思決定を武雄氏に替わって後見人が行うことが可能になる。

〈開示されていませんが、申請書の内容を見れば、誰からの情報に基づいて、誰の利益のために動いているかは察しがつきます。申請した直後に祖先の法事で親戚一同が集まったのですが、その時、会長の実妹は周りから申請したことを非難され、いたたまれなくなり帰ってしまいました〉

■逆らうと左遷

 現在、宏之氏はロッテ本社(東京都新宿区)への立ち入り禁止となっている上、社のメールも止められ、社員との連絡がとれない状況にあるという。氏が最も危惧するのは、ロッテの将来だ。

〈私が解任されて以降、社内では非常に強権的な人事政策がまかり通っています。現経営陣の意向に逆らうと左遷させられたり、そういったことが平気で行われている。ロッテというのは、現場は自由闊達にやってきて、失敗しても責任を問わないということで伸びてきた会社なんです〉

 今年3月の臨時株主総会では、現経営陣の退任などを求めた宏之氏の案は否決された。次なる6月の定例株主総会に向け、準備を進めている。

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「新潮45」6月号掲載の記事「ロッテ『クーデター』の真相」では、より詳細な宏之氏の証言を掲載。父・武雄氏が日本国籍を取得しなかったことや、記者会見で弟の昭夫氏が強調した「ロッテは韓国企業」発言についての自身の考えも明かしている。

新潮45 2016年6月22日掲載

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