田中角栄の婚外子が売り歩く形見の硯 自民からの出馬もならず

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 留まるところを知らない「田中角栄」ブーム。関連本の出版が相次ぎ、石原慎太郎著『天才』は、今上半期最大のベストセラーとなるほどの売れ行きを見せている。しかし、そんなチャンスに蚊帳の外なのは、長男・田中京氏(64)。懐は、季節外れの木枯らしが吹きっぱなしだという。

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あまり面立ちは似ていない?

「長男」と言っても、京氏の実母は、神楽坂で長らく芸者を生業としてきた故・辻和子さん。いわゆる婚外子で、田中真紀子元外相とは異母姉弟の間柄だ。

 昨年末以降、京氏が来る参院選で自民党からの出馬を模索していたのは既に報じられている。

 しかし、

「党内部でも、真剣に検討する向きはありませんでした。いくら流行りでも『角栄の長男』だけで当選できるほど甘くはないですよ」(自民党関係者)

 と、いつの間にか立ち消えとなってしまっていた。

■200万と100万

 確かに元首相の息子とはいえ、政治とはこれまでほとんど接点のなかった身。還暦をとうに超えた歳になって突然の“出馬宣言”には、首を傾げざるを得なかったけれど、

「ここ数年、ずっとお金に困っていますからね」

 と“実情”を明かすのは、長年の知人である。

 もともと京氏は会社勤めの後、銀座、続いて神楽坂でバーを経営。角栄氏から億単位と目される遺産も受け継いでいる。

 だが、

「事業がなかなかうまく行かず、ここ数年は店の家賃も支払えないほどでした。資金繰りのため、名古屋の実業家に300万円を2度、借りに行きましたが、2度目は期限までに返すことが出来ず、仲介者に追い込まれてやっと返したくらい。結局、経営は上向かず、昨年6月、5年以上続けた神楽坂の店を閉じ、生活の糧を失いました」(同)

 そうした苦境の中、京氏が目を付けたのは、亡き父の形見の品だったという。

「角栄さんが愛用していた硯を大小2つ、形見として持っているのだそうです。1つは、総理就任記念の三重県製、もう1つは中国製。友人に対し、“買い手が付かないかなあ”と相談していました。でも、彼が付けた値は200万円と100万円。ホントに角栄さんが使ったのかどうかわからない代物ですし、今でも買い手は付かないままなのです」(同)

 こうしたタイミングでの“出馬宣言”だったから、

「やっぱり金目当てだったのかね」(同)

 と“陰口”を叩かれてしまう始末なのだ。

 そんな京氏にこれらの件を訊ねてみると、

「父の硯? 興味ある人に見せたことはあるけど、売ろうとするわけないじゃないですか!」

 とご機嫌斜め。以降は、まったく応対してくれなくなった。

「最近の京さんは、中国関係のビジネスに食い込もうとしていますよ」

 と言うのは、別の知人。

「中国にとって、角栄さんは『日中国交正常化』を実現させた大恩人。その長男だから、彼が出ていくと喜ばれるのです。中国相手に仕事をしている会社の顧問になったり、在日中国人に講演をしたりして食いつないでいるのが現状。中国人からは“政治家にまたチャレンジしてほしい”とすごい人気ですけどね」

 政治評論家の小林吉弥氏によれば、

「この角栄ブームはまだ続いていく。生誕100年を迎える2年後がピークになると思います」

 人一倍「カネ」に執着したとされる角栄氏。ご長男がそれに泣くとは、何とも皮肉なことと言えるのだ。

「ワイド特集 うまい話に裏がある!」より

週刊新潮 2016年6月16日号掲載

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