ツタンカーメンの謎の短剣は地球外から? 論文発表

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ツタンカーメン黄金のマスク

 その時代に存在しないはずの物質や技術が使用された遺物を「オーパーツ」という。Out Of Place Artifacts、の略である。

 1925年、考古学者ハワード・カーターはツタンカーメン王の右太腿付近に鉄製の短剣を発見した。だが、若きファラオがミイラとなったのは紀元前14世紀、エジプトで融点1538℃の鉄が使われるようになったのは紀元前8世紀頃――。

「その謎を解いたとイタリアとエジプトの研究者が国際隕石学会の専門誌に論文を発表しました。蛍光X線分析装置による非侵襲的検査で短剣の成分を調べたところ、10・8%と他の古代鉄器に較べてはるかに高濃度のニッケルを含み、コバルトも検出。紅海周辺に落ちた隕石と比較したところ、ほぼ一致する成分の隕石を発見し、短剣の鉄は地球外からのものだと断定したのです」(科学部記者)

 研究チームは古代エジプト人が隕石を重要視したともする。紀元前13世紀頃から、古代エジプト文字の鉄を意味する語に「空からの鉄」の意味が加わるからだ。

 早稲田大学名誉教授の吉村作治氏は言う。

「古代エジプトでは金より鉄の方が貴重でした。そのため副葬品となったのでしょうが、これまでこの短剣は紀元前15世紀頃に成立し、最初の鉄器文明を築いた隣国ヒッタイトからの贈り物と見られていました。今後、検証が必要でしょうね」

 短剣がオーパーツなどでなかったことはわかったが。

週刊新潮 2016年6月16日号掲載

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