「トランプ大統領」就任を15年前に“予言”していたアメリカの「天才集団」
「少し前からネットを中心に凄い話題になっているんですよ。“トランプ大統領”を予言したアニメがあるって……『ザ・シンプソンズ』って知ってます?」
『ザ・シンプソンズ』――残念ながら日本の地上波ではほとんど放映されていないが、衛星やケーブルチャンネルでは、確実にファンを獲得し、ひと頃は清涼飲料水のCMキャラクターにもなったアニメである。黄色い肌にギョロ目の、ずいぶんとデフォルメされた姿を思い浮かべれば、きっとどこかで見ているハズである。
アメリカでは1989年から今も放映が続く、大人気番組である。で、その『ザ・シンプソンズ』がどうしたというのだ?
「それがですね、2000年3月に放映した回、主人公一家の女の子(リサ)が、未来の世界で大統領になるって話があって、そこで先代の大統領がトランプだったというクダリが出てくるんです。トランプ政権時代のアメリカは“最悪”の財政状況で、それを救うのが女性初の大統領、“リサ”っていう展開です」
1年前に予想できなかった事態が15年も前に、しかもトランプがお茶の間の人気者?となるNBC番組「アプレンティス」(2004年~)に出演し始める前というから、慧眼というよりも、もはやオカルトである。が、この予想から、『ザ・シンプソンズ』についての別の側面に話題が及んでいるという。
「『ザ・シンプソンズ』って、風刺の強い、毒っ気のあるアニメですが、アメリカでは『サザエさん』のような国民的番組なんです。したがってファンもメチャクチャ多いのですが、そのファンですら、殆ど知らなかった“秘密”が、この番組にはあったのです。というのも、このアニメの脚本家たちの中に、ハーバード大学を卒業した数学博士が何人もいて、番組に数学ネタが山ほど盛り込まれているというんです。やっぱりハーバード出たヤツらは、考えることが違うわ、っていう評価なんです」(同)
そして、その詳細を教えてくれるのが、人気サイエンスライター、サイモン・シンの最新作『数学者たちの楽園――「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち』(新潮社)である。この本は彼らが『ザ・シンプソンズ』に隠した数学の“小ネタ”“なぞかけ”を次々に解き明かすものだが、もちろん話題は数学のみにとどまらない。
「ハーバード大だから凄いというのもあるかもしれませんが、見方を変えれば、そんな才能を持った人たちが大勢、何の迷いもなくアニメの脚本家になっているところにアメリカの力というか、恐ろしさを感じますね。」