満天の星空みたいに、壁にゴキブリがびっしりと…〈清掃人は見た! あなたの近所の隠れた「汚部屋」(1)〉
過剰に「清潔」に気を遣う現代社会の陰で、その対極にある「汚部屋(おべや)」がなぜか増殖中という。閉ざされたドアの向こうには、何が“堆積”し、誰が“棲息”しているのか。ノンフィクション・ライターの福田ますみさんが、清掃業者の証言から描く、その隠された実態。
***
世は春爛漫の候だが、あえて季節外れの句をひとつ。
秋深き隣は何をする人ぞ
有名な芭蕉の俳句である。
晩年の芭蕉が「孤独」をあらわした傑作とされるが、寒くなって障子や雨戸が閉められ、隣人の動静がわからなくなったという「季節感」も、句に趣を添えているのであろう。...