トランプの「日本も核兵器解禁」発言 実現の可能性は
言うまでもないが日本はアメリカの「核の傘」に入って、中国やロシア、北朝鮮の脅威に対抗してきた。ところが、ドナルド・トランプ氏(69)はあっさり「日本も核兵器を持っていい」と言う。世界でも指折りのプルトニウム保有国が、それを自由にしていいとなったら。
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トランプ氏はあっさり「日本も核兵器を持っていい」と言う
〈もし、日本が核を持ったとして、それが本当に我々にとって悪い事でしょうか?〉
3月26日、トランプ氏はそう話してニューヨーク・タイムズのインタビュアーを驚かせた。それもそのはず、戦後、日本は一貫して核兵器を拒否し、アメリカも縛りをかけてきたからだ。もちろん、「唯一の被爆国」という国民感情もある。
その一方で、日本は約48トンものプルトニウムを保有している。これは、発電用・核兵器用と合わせて世界で5番目の規模だ。
「日本とアメリカには日米原子力協定が結ばれていますが、これはアメリカの了解なしには、ウラン、プルトニウムなどの原料を1グラムたりとも動かせないというもの。いわば、兵器に転用させないための“足かせ”といっていい。代わりに、高速増殖炉で燃やすという目的で使用済み核燃料の再処理(プルトニウムの分離)を特別に認めているのです」(電力会社幹部)
が、もんじゅの事故などで核燃料サイクルはストップしたまま。再処理されたプルトニウムは溜まりに溜まって現在の量になっているというわけだ。トランプ氏が言ったように核兵器開発が解禁になったら、このプルトニウムで何発の核弾頭が作れるのだろうか。
■最大5000発
東京工業大学助教の澤田哲生氏によると、
「IAEA(国際原子力機関)によると、プルトニウムは8キロあると核弾頭が作れるとある。とすると、日本の持っている量では4000~5000発の核弾頭に相当すると見られています」
もっとも、日本のプルトニウムは使用済み燃料から分離されるため、質が悪く核兵器に向いていない。だが日本は技術大国。専門家を集めて作らせたらどのくらいの時間で開発できるのだろうか。元外務省の原子力課長で外交評論家の金子熊夫氏が言う。
「日本は核実験をしたことがなくデータもないので無理というのが多数意見です。しかし、可能という専門家もいる。技術者を研究所に缶詰めにして予算が無制限なら、爆発するだけのレベルで、おそらく半年か数カ月でできると思います。ただミサイルに積むとなると小型化が必要で、1年ぐらいと見る研究者もいます」
だが、これはあくまで技術的な話。現実にはNPT(核拡散防止条約)からの脱退問題など国際法上も無理だ。それなら、プルトニウムを売り払ってしまうというのはどうか。ちょうど、再来年の7月には日米原子力協定も期限を迎える。
「高速増殖炉が脚光を浴びていた頃、プルトニウムはウイスキー1瓶の量でジョニ黒と同じぐらいの値段と言われていました。でも今は需要がなく商品価値もほとんどありません」(同)
結局、核兵器もアメリカから買ってくれとトランプ氏は言いたかったのか。
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