イスラム国、年内にも崩壊か 石油生産施設を失い、兵士の給料半減

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「いよいよ将棋で言えば“詰み”も間近、という観測が英米の専門家筋から出始めましたね」

 と、現代イスラム研究センターの宮田律氏が言うように、最近劣勢が報じられるばかりの「イスラム国」。

「石油生産施設を集中的に空爆されたことで、昨年半ばと較べて石油生産量の30%強を失い、過去1年間で収入が30%減少した、などとする調査もあります。実際、イラク・シリア双方で支配地域が過去15カ月で22%縮小しているというペースを鑑みると、年内崩壊の可能性もありえるのでは」(国際部記者)

 一時期は圧倒的な勢威を誇り、滅亡させるのも容易でないと見られていたのが一転、どうなっているのか。

「昨年11月のパリ同時多発テロが転機だったかもしれません。欧州が一枚岩になり、密かに支援していた湾岸諸国のスンニ派も手を引き始めた。激しい空爆の上に、トルコが国境コントロールを厳格化、国境地帯も奪われ、ただでさえ原油安で苦しいところに物資も金も現物が入らなくなった」(宮田氏)

 兵士の給料は半減、インフレが進んでいるとも。

「ただ、イラク方面から流れたと見られるイスラム国兵士がアフガニスタンに続々と入り込んでいるとロシア外務省が警告しています。その数、すでに1万人。これが中央アジアやロシア、中国などに活動範囲を広げると脅威です」(同)

〈国家〉としてのイスラム国に崩壊の予兆があれども、次はテロ組織として世界中に拡散する危険性が、依然潜んでいるのだ。

週刊新潮 2016年5月19日菖蒲月増大号掲載

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