安倍総理の勝負タイはブルックスブラザーズで1万2千円 本命プーチン前で着用

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 手練手管の外交交渉では、むろん“見た目”も重要な手持ち札の1枚である。

 外務省担当記者が言う。

「ソチで行われた日露首脳会談の焦点は、北方領土問題を動かせるかの一点。そのため安倍晋三総理はエネルギー開発などの8つの経済援助を手土産にしました。8という数字の意味は末広がりであること、外相も務めた父の晋太郎氏がソ連に同様の8項目提案をしたことに由来している」

出典:「プーチン露大統領と握手する安倍総理」(首相官邸ホームページ)(http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201605/06russia.html)を加工して作成

 さらに、3時間10分にも及ぶ会談の中で総理は、2人きりで話したいと要求し、35分間のサシの対話も行った。ロシア外交に詳しい作家の佐藤優氏が指摘する。

「ロシアが望む経済対策と領土問題を“抱き合わせ”にして提案したのです。この会談で互いの信頼関係は飛躍的に高まりました。注目すべきはプーチン大統領に贈った宣教師ニコライの日記です。ニコライは日露戦争のときも日本に留まり、布教を行った。日露友好の象徴として、関係改善の意味が込められています」

 総理の並々ならぬ意気込みはファッションからも見てとれた。官邸関係者によれば、

「ヨーロッパ歴訪はサミットの地ならしですからサプライズはない。緊張感のある勝負所はロシアだったのです。そのため、総理は黄色に水色のストライプが入った勝負ネクタイを締めました。黄色の理由は『顔映りが良くなるから』と総理自身が話していましたね」

 これまでも解散や重要な外交の場面で黄色のネクタイを締めてきたのだという。

「愛用するブルックスブラザーズのもの。本気度が伝わったはず」(同)

 ちなみにこの品、現在は売られていないが、販売時は1万2000円ほどだったという。ともあれ、会談で領土問題が動くのか。

「まずは、途絶えているプーチン大統領の来日を実現させること。交渉はそこからです」(佐藤氏)

 先の関係者も、

「1度の勝負で終わる話ではない。会えたことが重要」

“幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ”ならぬ“ネクタイ”になるか、手腕が試される。

週刊新潮 2016年5月19日菖蒲月増大号掲載

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